2024年10月1日に発足した石破茂内閣では、経済政策とともに外交・安保政策がどう設定され、どう実行されるかも注目されている。それはそうだろう。時には「軍事オタク」とまで言われてきたほど、石破首相が最も関心を寄せてきた分野であり、各種メディアや自著を通して、自分の見解を述べ続けてきた分野であるのだから。
一方で、自民党総裁選で示された所見を振り返ると、①憲法も含めた広範囲な議論を含めて「安全保障基本法」の制定、②「アジア版NATO」(北大西洋条約機構)の構築、③北朝鮮との東京・平壌相互の連絡事務所の開設、④シェルター整備や国民保護体制の実効性確保、と簡潔に提示されている。
また、総裁選投票日だった9月27日、アメリカのシンクタンク・ハドソン研究所に対し、安全保障関連を内容とする寄稿文を寄せている。これには、日米安全保障条約の改定や日米地位協定の見直し、アジア版NATOに加え「核共有」(ニュークリア・シェアリング)が言及され、日米間の外交筋で話題を呼んでいる。
「アジア版NATO」をぶち上げたが…
日本を取り巻く東アジア情勢を考えると、所見と寄稿文の内容の実現は一筋縄ではいかない。結局は、自衛権や自衛隊のあり方など憲法に深く関わる問題であるため、実際に議論を始めようとしても、どう落とし所をつけるのか非常に難しい問題ばかりだ。
石破首相本人も総裁選後にメディアで言っていたが、「アジア版NATO」は「いきなりできるわけがない」。石破首相の構想は、ロシアを仮想敵とするNATOのような強力な防衛体制をアジアでつくれば、日本を含む同盟国がそう簡単に紛争や戦争に巻き込まれないだろうとの考えに基づく。
当然、念頭には現在の中国と北朝鮮の存在がある。これにはウクライナ戦争中のロシアも含まれるだろう。
すでに2年を超えたウクライナ戦争で、ロシアがウクライナへの軍事支援を続けるNATO加盟国にまで攻撃の手を伸ばさないのはなぜか。それは「敵に回せば勝算がほぼなくなる」とみるNATOがあるためだ。
であれば、仮に日米を基軸とするアジア版NATOがあれば、中国や北朝鮮などが台湾や韓国を攻撃する場合、アジア版NATO加盟国から必ず相応の反撃を受けることになり、十分な抑止力になると考えるのだ。
しかし、これは現在の日米同盟でも十分考えられるもので、アメリカの軍事力はそれ相応の抑止力となっている。中国が仮に台湾を攻撃すれば、日本の在日アメリカ軍基地が稼働することになる。そこでアメリカ軍基地まで攻撃してしまえば 、直ちに日米同盟を敵に回すことになる。そうなると中国もかなりの反撃を受けることが予想される。
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