北朝鮮の場合も、もし朝鮮半島有事が発生し、韓国内のどこかが攻撃されるとすれば、朝鮮戦争当時の国連軍地位協定によって日本との事前協議なく「朝鮮国連軍」が機能し、 日本の在日米軍基地から攻撃を起こしうる。
そうした場合に、北朝鮮から日本に向けて核ミサイルが飛んでくる可能性も出てくる。アメリカ軍の軍事力からすれば北朝鮮に対しても抑止力は発揮できるが、日本としては、究極の手段としてアメリカの核を共有するという手段が考えられる。
「核共有」も打ち出したが…
これは一時期、自民党内でも相当議論されたが、核共有による運営手続きやコストなど現状では耐えられるものではないということで、「日本にはそぐわない」という結論が出されて、現実味が薄い。
アジア各国が抱える事情も、欧米とロシアとの関係とは違う。例えば、中国と深い経済・政治関係を持つ国が多く、東南アジアにはルーツを中国とする国民も多い。そのため、安全保障政策もばらばらだ。どこまでNATOのような形の集団的安全保障体制ができるのか、その議論の入口に至るのもかなり難しいだろう。
むしろ、現状においては、日米同盟に加え、韓国やオーストラリア、ニュージーランド、インドといったより広範囲な視野を持って、アメリカ以外にも安全保障上の「日本の味方をつくっておくべきだ」というのが石破首相の本音ではないだろうか。
それよりも、日本の国防の核となる日米安全保障条約はいびつな形での軍事条約で、必ず是正されるべきだという問題意識が石破首相には強い。日本が攻撃を受ければ、アメリカ軍が日本を守ってくれる。しかし、アメリカが攻撃されれば、日本はそうする必要がない。
世界でもまれな「片務的、非対称的な双務条約」である条約のあり方はおかしく、世界でも普通な「対称的」な条約でアメリカと同盟関係を再設定したいという思いがより強い。
さらに、在米自衛隊の可能性や、在日米軍に法律上の特権的な地位が与えられている日米地位協定の改定にも言及した。これも、日米安保条約が非対称的であるためで、それを是正して日本が管理・運営できる余地を増やしていきたいという考えの延長線上にある。
アメリカ軍基地に勤務する米軍関係者による犯罪のたびに日米地位協定改定の声が上がる。とくに在日米軍基地全体の面積の7割、沖縄本島の15%を占める沖縄県を中心に、日米地位協定への不満は沸騰中だ。
しかし、米軍側は現在の特権めいた地位を手放す考えはなく、外務省をはじめ、日本政府にも日本側の管理を広げるような提案をする動きはない。石破首相がどこまで踏み出せるか、政治力も試される。
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