「核戦争を止めている」ことこそ被団協の最大功績 ノーベル平和賞受賞、若い世代にどう継承するか
現在、核禁条約の批准国は約70国・地域。アメリカとの同盟関係で日本と同じような立場にあるドイツは核禁国会議にオブザーバー参加し、限定的ながら核廃絶への志向を明らかにしている。日本政府がドイツと同じ道を選ぼうとしない理由は、過度の対米従属意識を払拭できないからだろう。
被団協を含む反核勢力も、ただ核廃絶を叫んでいるだけでは核戦争を阻止できないことを過去の経験から学んでいる。核保有国に核使用をためらわせるためには、国際的な反核世論を継続して拡大していく必要がある。
だが、80年に及ぶ核戦争発生を防いできた反核行動の主役である被団協に見られるように、核被害者たちの年齢は80歳を優に過ぎた。これからは若い世代がいかに運動を継承し、発展させていけるかが最大の課題となる。
個人個人の反核決意がカギ
筆者は1990年代末から2000年代初めまでの約10年間、広島の大学で教鞭をとりながら原爆問題に関わってきた。その経験から言えることは、大学生を含む多くの若者はヒロシマ・ナガサキにほとんど関心を示さないことだ。
広島では小学校から大学まで、原爆被害の悲惨な状況を原爆ドームや原爆資料館などへの参観で繰り返し学んでいる。ヒロシマの記憶を叩き込まれているはずだ。だが参観した生徒や学生の中からは、「もう飽きた」といった声が聞こえることも再三である。
一方、被害の記憶継承に熱心な若者たちも少なくない。被爆者第3世代の彼らが今、被爆者第1世代と第2世代から運動を引き継ごうとしている。
10月11日夕、広島市役所での記者会見に臨む広島県被団協の箕牧智・代表委員に寄り添う高校生の平和大使たち。平和記念公園で通訳ガイドに勤しむ大学生など若いボランティア。これからは彼らを中心に「原爆許すまじ」の行動が世界に広がっていくだろう。
国際社会の反核、反戦運動は環境破壊阻止の各種市民行動と連携していくことが期待される。16歳の少女が「国連気候行動サミット」で堂々のスピーチを行い、世界の注目を集めた。スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんだ。
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