ダヴ「ルッキズムに異議」が皆の怒りを招いた根因 「啓発キャンペーン」がなぜ批判されてしまったのか
ただし、この広告もメディアで報道された際には、保守派の人たちから批判的な意見も出た。性的多様性自体を否定する意見は少数派だったが、「マイノリティの人を広告にして、広くアピールする必要はあるのか?」という意見は少なからず見られた。
ナイキやダヴの事例と同じで、「意見自体は否定しないが、声高に言うことではない」といったところだろう。
全体としてはポジティブな意見が優勢だったので、成功だったと言っていいが、話題が広がれば広がるほど、意図しない反応も出て来てしまうのも事実だ。
どうすれば「炎上」を避けられるのか
他にも日本で称賛された事例として、P&Gのヘアケアブランドのパンテーンが行った「#HairWeGo」キャンペーンがある。
このキャンペーンは、髪をテーマに、1人ひとりの個性を尊重するきっかけづくりを行おうとする取り組みだ。ブラック校則の見直しを促したり、就活を自由な髪で行うことを呼びかけたりと、社会活動的な側面も持った取り組みとして、高い評価を得ている。
ダヴもパンテーンも、ともにしっかりと調査を行ったうえで、それに基づいて展開されている。ダヴのほうも、メッセージの方向性自体がズレているわけではない。違いは、表現面での細かな配慮に出ているように思う。
ダヴの広告は、「リアルビューティー・キャンペーン」の流れから、グローバルな発想で展開されたものだと思うが、欧米であれば、おそらく炎上はしなかったのではないだろうか。
ある考え方を否定したり、批判したり、疑問を呈したりする表現は刺激的ではあるが、日本では批判を受けやすい。
パンテーンの「#HairWeGo」は、規制の考え方に疑問を呈するものだが、キャッチコピーも、「この髪どうしてダメですか」「さあ、この髪でいこう。」「この髪が私です。」といったもので、否定形にはなっていない。
商品の利用者やターゲット層以外の人たちにも共感されるメッセージになっていたのか否か? というのがポイントであったように思う。
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