昭和シェル、ソーラー子会社はどう戦うのか

厳しさを増す太陽電池市場

ライバルがひしめくなかでどう舵を取っていくのか。ソーラーフロンティアの平野敦彦社長が余すところなく語り尽した(撮影:尾形文繁)
2014年秋に表面化した送電線接続契約保留、いわゆる「九州電力ショック」を境に、固定価格買い取り制度(FIT)でバブル的様相を見せていた太陽光発電の市場環境は一気に暗転した。新規需要が落ち込む中で価格競争が激化した結果、太陽電池の国内メーカー各社は今年に入って軒並み業績を悪化させている。今後どうやって業績を建て直していくか、各社のサバイバル戦略が問われる局面だ。
そこで、シャープや京セラ、パナソニックなどと並ぶ国内太陽電池メーカー大手で、昭和シェル石油の100%子会社であるソーラーフロンティアの平野敦彦社長に、最近の市場環境や今後の事業戦略、さらには親会社と出光興産の経営統合による影響などについて聞いた。

 

――ソーラーフロンティアの業績を見ると、営業損益で2012年度が153億円の赤字だったが、FIT導入翌年の2013年度に163億円の黒字に転換し、2014年度も160億円の黒字が続いた。ところが、2015年度上期(1~6月)は推定で30億円程度の赤字に落ち込んだ。業績が急悪化した要因は何か。

2012年度までは先行投資が収益の圧迫要因になったが、同年後半から主力の第3工場(宮崎県の国富工場)がフル稼働し、当初想定以上の生産性が得られるようになった。だが2015年度前半については第4工場(東北工場)が竣工したものの、まだ商業生産には至っておらず、先行負担が発生している。また、事業領域の拡大策として、太陽光発電所を作り上げて電力会社やファンドなどの投資家へ売却するBOT(Build, Operate, Transfer)を急速に推進しており、工場を建設するのと同様に先行投資負担が発生している。

3つめの要因は、日本の太陽光発電市場で競争が激しくなったことだ。FITが仕組み上も運用上も大きく変わったことを受け、足元の需要が冷え込み、価格競争が厳しくなった。

新規需要は冷え込んでいる

――国内出荷量最大手のシャープも赤字に陥るなど、太陽電池業界は軒並み収益が悪化している。市場環境は具体的にどう変化しているのか。

国内ではFIT制度の下、太陽光の(国による)設備認定の容量が80ギガワット(GW)強に達している。うち、稼働を開始したものが約20GW。まだ稼働してない約60GWのうち実際どの程度稼働するかは不明だが、業界では半分程度と見られている。昨年の太陽光の需要は約9GWと高水準だったが、今後も昨年の3~4年分の需要が見込まれ、ポテンシャルは十分ある。

一方でいま懸念されているのは、2015年度からの新規の需要動向。残念ながら非常に冷え込んでいる。FITの買い取り価格が下がったこともあるが、いちばん大きいのはFITの運用上の見直しだ。たとえば出力抑制(出力制御)。7つの大手電力会社が、出力抑制を無制限にかけられることになった。従来と同じように30日以内の出力抑制に収まるとのシミュレーションもあるが、「無制限」との文言が示された以上、太陽光の施主は投資に慎重になる。

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