SCE社長が語る次世代ゲーム機「PS Vita」の戦略とは


 --PS3が象徴するように、SCEは半導体などの部品からゲーム機を作り込むのが特徴だった。これに対しVitaは、スマートフォンで用いられるようなCPUやグラフィックチップを搭載している。いずれスマートフォンに機能が追いつかれ、端末の陳腐化が進む懸念はないか。

「製品寿命に影響はなく、まずはソフト戦略が重要になる。実際にPSPは、発売から7年経っても順調に売れている。さまざまに進化したソフトが登場すれば使い方が広がり、ライフサイクルは長くなる。

Vitaはゲーム機としてのマーケットを作ることが大前提だが、多機能端末としても楽しめる。有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレイを搭載したことで、ゲーム以外のメディアも美しい画面で楽しむことができるため、今後は新しい配信サービスも順次登場してくるはずだ」

--スマートフォンでは無料や低価格で遊べるゲームが多い。このユーザーに対し、どうアプローチしていくのか。

「SCEが強化するのが、アンドロイドマーケットで提供する『PlayStation Suite』というゲーム配信のプラットフォーム。プレイステーションの旧タイトルを『PlayStation Store』で有料配信しており、探しやすさ、見つけやすさ、買いやすさを実現する。現在は『Sony Tablet』やスマートフォン『Xperia』シリーズに対応しているが、今後は他社製の端末にも対応を広げていく。

多くのユーザーは、アンドロイドマーケットでゲームをダウンロードしようと思っても、玉石混合でどれが優れているかを見分けるのは難しい。PS Suite上のゲームならば安心して優れたゲームを楽しむことができる。11月から開発プラットフォームをオープンにして、ソニー以外の企業や学生もPS Suite向けのゲーム開発ができる環境を整えたため。来春からはタイトルも充実してくるはずだ。

SCEとしては、スマートフォンで優れたゲームをPS Suiteで提供し、それよりも没入感のある究極のエンタテインメント体験をVitaで実現する戦略を採っている。まずはPS Suiteでライトユーザーを取り込み、そこから専用機のVitaへ誘導したい」

●アンドリュー・ハウス
1990年にソニー入社。広報業務を担当した後、95年にSCEに入社してマーケティングとプロモーションを担当する。96年にSCEアメリカのマーケティング担当のバイスプレジテント、09年にSCEヨーロッパの社長兼CEOを経て11年9月にSCE社長に就任。

(前田 佳子 =東洋経済オンライン)

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