ドイツのプロダクトは、一般的に黒で質感を表現する傾向がある。クルマも同様で、合成樹脂やファブリックなど異なる素材を使っていても、黒基調で統一する努力をしてきた。
素材感が端的に表れるという黒色で統一感を生み出すことにより、“作りのよさ”をアピールする戦略をとってきたのだ。
でも、T-CROSSはデビュー当初から、そんな黒戦略を捨て、カラフルな素材の組み合わせを採用していて新鮮だった。最近のフォルクスワーゲンが得意とする、きれいな色づかいの内装が選べる。
ただし、ブラックの内装も用意されているので、同色での質感創出はコストがかかるから避ける、ということではないようだ。
ドライブフィールは痛快ともいえる
T-CROSSの“いいところ”には、もちろん走りも含まれる。グレードは3つ設定されているが、エンジンは999cc3気筒ガソリンターボで一本化。
ミラーサイクル化されていて、燃費は17.0km/L(WLTCモード)と良好であるいっぽう、85kW(116ps)の最高出力と200Nmの最大トルクという数値から想像する以上に力があって、痛快ともいえるドライブフィールを味わわせてくれる。
発進から加速していくまでエンジンの力が途切れないよう、ターボチャージャーの設定も巧妙だし、7段デュアルクラッチ変速機(DSG)によるギアチェンジのタイミングもうまい。
燃費を追求するあまりシフトアップを急ぎ、アクセルペダルを踏み込んだときに“トルク感がスカスカ”という味気ないクルマもあるが、T-CROSSはドライバーとの一体感をしっかり感じさせる。
ステアリングフィールはしっかりとしていて、切り込んだときの車体の反応もいいし、サスペンションは、カーブを曲がるときに車体の傾きをしっかり抑える一方で、高速走行ではフラットで快適な乗り心地を提供してくれる。
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