「製品の面からすると、今年後半から来年にかけては大忙しです」
そう話すのは、フォルクスワーゲングループジャパンでシニアプロダクトマネージャーとして、製品導入のプログラムを担当する山谷浩之氏だ。
「第8世代のゴルフが改良型の“8.5”になりますし、プラグインハイブリッド(PHEV)化した新型パサート、それにデザインや装備が一新されたティグアンが2024年内に導入されます。2025年には、BEVのミニバンとして注目されているID.BUZZ(アイディーバズ)も控えています」
一部の自動車好きには、「フォルクスワーゲンの製品はマジメでいまひとつ華やかさに欠ける」という印象を持たれている。たとえば、BMWやミニやプジョーは、デザインもインフォテイメントも、いかにも新しい。演出がうまいのだ。
ゴルフは、1974年の第1世代から50年間にわたり、太いリアクォーターピラーを持ったハッチバックスタイルを守り続けている。セダンが市場で飽きられてきたように、伝統的なスタイルからイメージの刷新を求める声があるのも事実だ。
フォルクスワーゲンはちょっと古いのか……、そんなことを考えていたが、マイナーチェンジを受けたT-CROSSに乗ってみて、認識を新たにした。フォルクスワーゲンの“いいところ”がぎゅっと詰まっているようなでき映えだったからだ。
ボディも内装も「質感が高い」
では“いいところ”とは、なんだろうか。まずはボディ。先述のとおり全長は4mをほんの少し超えただけの4140mmで、全幅は1760mm、ホイールベースは2550mmと、昨今のクルマの中ではコンパクトだ。国産車でいえば、トヨタ「ヤリスクロス」より数cm短いだけ。
それでいて、室内は意外なほど空間的な余裕があるから驚きだ。身長175cmの人間が4人乗っていられる。パッケージのうまさは、フォルクスワーゲンのお家芸だ。
次の“いいところ”は、作り。ボディは剛性感があり、ドアの開け閉めもバスンッと頼りがいのある音がする。室内の質感も高くなった。
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