米大統領選挙をも動かす「ビットコインマネー」 トランプ氏が"仮想通貨大国"にすると宣言

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他方、財政の面ではビットコインを国の戦略的準備資産とすることで財政のスリム化を狙う。米国の政府債務はコロナショックを経てたった4年で50%ほど膨れ上がり、現在は35兆ドル(約5000兆円)となった。昨年には米大手格付け会社が米国債の格付けを引き下げるなど、債務は大きな問題だ。

トランプの経済政策は減税が要になっており、財政の悪化は避けられない。そこで、「無国籍通貨」や「デジタルゴールド」とも称されるビットコインを政府の準備資産として保有し、財政悪化をオフセット(相殺)しようという考えだ。ビットコインの高いボラティリティーを考慮すれば、一見安直かつハイリスクな政策と思えるが、トランプは8月に行われたフォックス・ニュースのインタビューで、米政府が抱える35兆ドルの債務を「クリプトチェック(小切手)」で返済できるかもしれないと口にした。

また、今のところ政府として追加のビットコイン購入は公言しておらず、あくまで米政府がこれまで金融犯罪事件で押収した約21万BTC(約1.7兆円)を売却せずに保有し続ける計画だ。

仮にトランプが再選されれば、米国におけるビットコインマイニングが活性化され、ビットコインのネットワークはより強靭なものとなるだろう。世界一の経済大国がビットコインを準備資産として保有するとなれば、アセットとしての格をさらに引き上げる材料となりうる。暗号資産業界としては歓迎すべき流れとなる。

民主党にも変化の兆し

ひるがえってハリス陣営では、9月中旬までビットコインどころか仮想通貨全般に関する政策やスタンスについてハリス本人からの明言はなかった。バイデン政権は仮想通貨交換業者に対する規制強化やマイニング業者に対する増税を提案するなど業界には厳しかった。とりわけ、エリザベス・ウォーレン上院議員やブラッド・シャーマン下院議員など、ベテラン民主党議員が反仮想通貨派だった。

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