カリスマ「実演販売士」と新人の決定的な差 5つの差が売り上げ5倍の開きを生む
そしていよいよ開店の時間。まだまだ客足もまばらな中、太田氏、新人販売士ともに大声で一人しゃべりをはじめた。まるで客のいない舞台でしゃべり続ける芸人のようで、ちょっと切ない光景だ。これは「空卓(からたく)」といって、実演販売士にとっては基本のテクニック。自分の存在に気がついてもらい、客を呼び寄せる最初のきっかけをつくるのだ。勿論、ここでも太田氏のテクニックが光った。
重要なテクニック「オネェ言葉」
2.使えるものは何でも使え!
なかなか客が寄り付こうとしない中、新人は必死に声を上げ続けた。一方、太田氏はと違った。
太田:ちょっと! そこのお兄さん。いいのよ、近くにいらっしゃい。近づいてみるのも勇気よ!
と、分かりやすい「オネェ言葉」を連発。もちろんこれは彼の重要なテクニックのひとつで、太田氏いわく、「オネェ言葉」は客の警戒心を解くにはとても便利なツールであり、使わない手はないとのことだ。
3.最初のチャンスを大事にせよ
太田氏は、最初の一組を捕まえたら、とにかくその客を長く引っ張ることに集中していた。特に子供連れの家族は狙い目で、実際に商品を手にとらせ、楽しくワイワイ体験をしてもらうと、その歓声をあげた子供たちが、他の客の引き寄せ役となり、あっというまに人だかりができるからだ。
せっかくつかんだ最初の客に、あわてて商品を買わせてリリースしてしまうのは、まさに愚の骨頂。急がばまわれ……急いては事を仕損じる……なんだか人生の教訓を聞いている気分になってくるから不思議だ。
そして、客足もピークになる時間帯。太田氏はさらなる「差」を見せつけてくれた。
4.事前の下準備に手間と時間をかけよ
分かりやすい差がついたのは、頑固な汚れも簡単に落とせるという特殊な布巾(ふきん)を販売しようとした時。新人販売士は、布巾の上にマジックで線を書き、それが簡単に水で剥がれ落ちるという現象で客をわかせた。一方、太田氏はというと……。