「稼げるハイブリッド車」が握るホンダの未来 脱「低収益の4輪事業」でEV離陸までの橋渡し

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EVの勝負どころと考える2020年代後半に向け、2026年以降に0シリーズを順次投入していく(資料:ホンダ)

「EVは2020年代後半が勝負になる」。ホンダ経営陣はEVの販売競争はこれから佳境になると繰り返している。

その勝負どころに向けて、車体技術の新工法「メガキャスト」の導入、全固体電池やEV専用のソフトウェア基盤の開発を進めている。2026年以降には「ホンダ0(ゼロ)」シリーズなど新技術を採用するモデルが立ち上がってくる。ゼロシリーズでは商流の見直しも含めて電池の調達コスト20%削減、自動化や部品集約で生産コストを35%削減(ともに現状比)することを目指している。

日産自動車、三菱自動車とEVやソフトウェア領域の協業検討も始まっている。それらも含めて、ホンダはEV事業立ち上げに2021年から2030年までの10年間に10兆円を投じる。巨額投資を行いながらも、コスト削減と台数拡大を進めることで2030年までにEV事業の営業利益率を5%まで高めるというのが、ホンダが中長期で描く戦略だ。

逆に言えば、EV戦略が順調に進んだとしてもHVとエンジン車の利益率を下回る状態が続く。つまり、4輪事業全体の収益性の足を引っ張ることになる。

HVが全体の5割、エンジン車より儲かるように

だからこそ、HVの業績貢献への使命は重い。

三部社長は「このままいけば2030年ごろには(HV販売が)180万台まで伸びる可能性がある」と自信を示す。180万台となれば、ホンダの4輪販売台数で約5割をHVが占めることになる。

e:HEVについては、さらなる小型化とコスト削減を図っていく考えだ。そのうえ台数も増えれば、HVがエンジン車よりも儲かる状態となる可能性が高い。

ホンダが初めてHVを投入したのは1999年の「インサイト」。プリウスを大ヒットさせたトヨタと共にHV技術を磨き上げてきた。それから四半世紀、ようやく輝きを見せ始めた虎の子が脱エンジンを掲げる2040年までのホンダの命運を左右することになる。

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横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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