「稼げるハイブリッド車」が握るホンダの未来 脱「低収益の4輪事業」でEV離陸までの橋渡し
HVシステムには、エンジンが発電のみを担いモーターだけで走る「シリーズ方式」、エンジン走行が主でモーターは走行補助として使う「パラレル方式」、エンジンとモーターの両方で走る「シリーズ・パラレル方式」が存在する。
e:HEVはシリーズ・パラレルに近い。やや専門的になるが、駆動源として2モーター内蔵の電気式変速機(CVT)を採用、走行用モーターは駆動軸と、発電用モーターはエンジンと直結している。
「e:HEVの特徴は、モーターが得意とする低・中速領域ではモーターで走行し、エンジンの燃費効率が高まる高速走行時ではエンジンで走行することで、燃費性能と走行性を高めている点だ」と、新型「フリード」で開発責任者を務めた安積悟氏は解説する。
ちなみに、日産自動車の「e-POWER」はシリーズに、トヨタの場合、現行「プリウス」など多くの車種がシリーズ・パラレルに、一部がパラレルに分類される。3方式には一長一短あり、シリーズ・パラレルが原理的に優れているというわけではない。
ただ、「e:HEVでは、モーター走行とエンジン走行の切り替え時に走行への違和感が生じないように徹底的にこだわった」(安積氏)ことで、走行時の快適性が格段に改善。さらに速度に合わせてモーターとエンジンを効率的に使い分けることで、新型フリードHVの燃費は先代のHVモデルより2割向上しており、市場で人気を博している。
e:HEVは採算面でも優等生
ホンダにとってe:HEVは第3世代のHVシステムに当たる(世代の定義によって異なる)。実は、ホンダは日本を除いたグローバル市場で2代目までのHVモデルは積極的に投入してこなかった。というのも、「コスト改善ができていなかったので、HV比率が高まると採算が大変なことになる」(藤村CFO)ためだった。
HVはエンジンに加えて電池やモーター、インバーターを搭載するため、エンジン車よりもコストが高い。だが、e:HEVは素材の見直しや構造の改善によってシステムコストを25%低減することに成功した。三部敏宏社長は、「HVはガソリン車と同等の利益を生み出せるようになっている」と強調する。
HVが採算面でも優等生となったことで、ホンダの経営課題の1つが改善しつつある。
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