減便した「朝の電車」元の本数なら混雑どうなる? ラッシュ時の輸送力、2019年度と比較して試算

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

混雑率のデータにある路線でいえば、2019年度比でもっとも輸送力が減ったのは山手線外回りの上野→御徒町間で、11両編成22本から17本へ約8100人分減少した。2番目は常磐線快速が約8000人分減っている(ただし、2019年度と2023年度で区間は異なる)。3番目は中央線各駅停車で約7400人分、4番目は常磐線各駅停車で約5600人分、5番目は山手線内回りで約4900人分だ。

これらの路線は2023年度の混雑率がいずれも140%以下だが、もし以前の輸送力であれば最大で110%台前半だった計算だ。

輸送力減った路線表
減便しなかった場合の混雑率試算

一方で、2019年度に比して2023年度でも輸送力を減らしていない路線もある。ただ、それで空いているかといえばまた別だ。

例えば京浜東北線の北行、大井町→品川間は、2019年度は輸送力3万8480人(10両編成26本)で輸送人員7万1350人、混雑率は185%だった。2023年度も輸送力は変わらず、それに対して輸送人員は約7割の5万6020人となったため、混雑率は146%になった。大幅に下がっているが、現在の平均的な数値からいえば混んでいるといえる。

埼京線の板橋→池袋間も、2019年度は輸送力2万7960人(10両編成19本)、輸送人員5万1850人で混雑率185%だったのが、2023年度は列車の本数は変わらず輸送力2万8040人、輸送人員4万4960人で混雑率160%となっている。輸送力は減っていないが、2023年度の混雑率は全国4位で、JR線では一番だ。

1本増えればだいぶ楽になるが…

このように減便している路線、していない路線を見ていくと、混雑率を一定程度に保とうとしている姿勢はうかがえる。

減らしていた本数を復活した鉄道会社もある。2022年に日中の急行と各駅停車を毎時1本ずつ減便した西武新宿線は、今年春のダイヤ改正でこれを元の本数に戻した。2022年夏に大幅な本数削減を行い、日中3~4分間隔を5分間隔にした東京メトロ銀座線は、翌2023年春に再び4分間隔へと増やした。同線は乗り入れのない路線で調整が行いやすいという特性もあるが、今後はこのような動きが広がる可能性は十分あるだろう。

JR東日本は10月1日発売分から、これまで通常の通勤定期券より10%割安だった「オフピーク定期券」を値下げし、15%割安にする。通勤の復活で混雑が再び悪化する中、それを緩和したいとの狙いが見える。ただ、やはりラッシュ時には多くの人が乗る。何本も減便した路線は最混雑時に1本程度復活すれば、混雑率は再度下げられる。並行路線を活用して一方の本数を増やすなども考えられるだろう。快適な通勤環境の提供を望みたい。

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事