減便した「朝の電車」元の本数なら混雑どうなる? ラッシュ時の輸送力、2019年度と比較して試算
利用者が増えれば混雑率が上がるのは当然だが、利用者数が変わらなくても列車の本数が減って輸送力が下がれば混雑率は上昇する。混雑率が上がるパターンは以下のような例が考えられる。
1:輸送力が増え、利用者がそれ以上に増加
2:輸送力は一定、利用者が増加
3:輸送力が減り、利用者数は一定
4:輸送力が減り、利用者数が増加
長年、都市部の鉄道は1と2のパターンが多かったといえるだろう。最近電車が混むようになったのは、コロナ禍で一度大きく減った乗客が再び増える中で4の状態になっているためといえる。
もし元の本数だったら?
例としては中央線快速が挙げられる。国土交通省が毎年発表している鉄道の混雑率のデータによると、コロナ前の2019年度、最混雑区間の中野→新宿間のピーク1時間当たりの輸送力は4万4400人(10両編成30本=データ記載に基づく)、輸送人員8万1550人で、混雑率は184%だった。
2020年度、この輸送人員は一気に約3万人も減り、5万1380人になった。この状況を受け、2022年春のダイヤ改正では最大の運転本数を1本減らして29本とし、翌2023年春の改正ではさらに1本減って28本となった。
2本減便された2023年度の輸送力は4万1440人分だ。ただ、輸送人員は6万5510人と2019年度の8割まで戻り、混雑率は158%となっている。もし1時間当たり30本・輸送力4万4400人を保っていたなら、混雑率は148%だった計算だ。
もっとも、2023年春のダイヤ改正では上記の時間帯を1本削減する代わりに、それより前の早朝に1本増発しており、以前よりも通勤客が分散する傾向にある中、本数の配分を変えたということができる。
また、中央線快速・青梅線では2025年春からグリーン車のサービスを開始する予定だ。現在10両編成の電車に2両のグリーン車を連結する。
東海道本線などの混雑率データを見ると輸送力にグリーン車は入っていない計算だが(13両分となっている)、利用者がグリーン車に移れば一般車両の混雑緩和につながる可能性はあるだろう。定員は2両で180人。1時間当たり28本なら5040人分のキャパシティが増えることになる。
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