「高齢者の交通事故」に目の問題が隠れている危険 視野障害を「自覚していない」人たちがマズい

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普通運転免許の取得・更新には、「両眼で0.7以上、片眼でそれぞれ0.3以上」、または「片眼が0.3未満の場合は他眼の視野が150度以上で、視力が0.7以上」という視力の基準がある。しかし緑内障の場合、かなり進行するまで視力には影響が出ないことが多い。

■運転免許の取得・更新に必要な視力(普通免許の場合)

・両眼で0.7以上、片眼でそれぞれ0.3以上
・片眼が0.3未満の場合は他眼の視野が150度以上で、視力が0.7以上

また、道路交通法では「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある一定の病気」の場合、免許の取り消しや停止がなされるが、一定の病気の中に認知症は含まれるが、緑内障は含まれていない。

つまり、緑内障と診断されても運転は可能だ。緑内障は、視野が狭くなり、末期では視力も低下する病気で、高齢になるほど多く、60歳以上の10人に1人が発症している(「日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査」報告)。

「自覚していないケース」で事故

視野が狭い緑内障の人が運転することは、危険ではないのだろうか。相原医師は「緑内障と診断されている人が、事故を起こしやすいというデータはありません」と話す。

「“緑内障を自覚している人”は、視野のどの部分が欠けているのかを把握していて、それをカバーするために視線をよく動かしたり、首を左右にふったりして慎重に運転しますし、雨の日や夜間は運転を避けるなど、無理をしない傾向があります。むしろ問題となるのは、“緑内障を発症しているのに、それを自覚していないケース”です」(相原医師)

緑内障の推定患者数は500万人程度といわれているが、そのうちの9割程度が本人に自覚がない潜在患者だと考えられている(「日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査」報告)。

というのは、緑内障は、かなり進行するまで自覚症状がないため、コンタクトレンズ処方時の受診や健診などで指摘されない限り、発症には気づかないからだ。

確かに緑内障になると視野が欠ける症状があるが、一部が黒くなるわけではなく、かすむ程度なのでわかりにくいうえ、両目で見ると視野が欠けている部分を補えるので、気づきにくい。

相原医師によると、事故を起こして初めて緑内障だとわかるケースもあるそうだ。

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