"オヤカク"増加の「なぜ」就活に介入する親の実態 保護者に電話「内定に賛成していただけますか」

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若手の離職率が高いことはよく知られているが、その引き金となる「人間関係」や「仕事の内容」への不満の背景に、「そもそも自分で決めた就職先ではなかったから」という表には出にくい要素が一定程度含まれていても不思議ではない。

自分もそうでしたが、と前置きした上で女性はこう続けた。

「自分で選択した道は、失敗しても自分で選んだのだからと納得できます。しかし、親がレールを敷いて無理やり進ませた道は、最終的には本人が納得していないので続かないし、何かあったら子は親のせいにしてしまいがちです」

大学選びも親の意向

大学進学でも親の意向を優先する傾向が目立つ、と女性は指摘する。その場合も、「入学後」に問題が表面化するケースが少なくないという。

「保護者の意向で学生本人の希望とは違う大学に無理やり入学させた場合、途中で欠席超過や成績不振で休退学する学生が、この10年で増えたように感じています」

就職はペーパー試験で完結する大学入試よりもシビアな面がある。親の価値観で子どもを縛っても本人にその気がない場合、企業側は面接で熱意や主体性のなさを見抜くため、結果的に内定が取りにくくなるからだ。

このため女性は、就活相談に来る学生には「もうすぐ社会人になるのだから、きちんと自分の意思を持ち、自分の行動や選択に責任を持って堂々と自分の道を進むように」とアドバイスしている。

実際、親の言いなりにならず自分の希望を通した学生は、就職後もしっかりした社会人に成長していると感じることが多いという。女性はこう強調する。

「親が就活した時代と今とでは、社会も会社も違います。まずは子どもを信じ、就活に必要な旅費などのお金は出すが、口は出さない。このスタンスを徹底していただきたい」

だが、現実は逆方向に進んでいるように見える。

23年度に就職活動した子どもの保護者を対象にマイナビが実施した意識調査で、「子どもの内定した企業からオヤカクを受けた」という保護者は52.4%。21年度の調査から質問項目に追加して以来、初めて半数を超えた。

オヤカクの方法は、子どもの内定企業から保護者に電話で「内定に賛成していただけますか」と口頭での確認を迫るケースや、保護者向けに送付された「内定承諾書」に署名するパターンがある。

承諾書には「正当な理由なく入社を拒否しません」といった本人と同じ「誓約」を求める文言が記されているという。

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