"オヤカク"増加の「なぜ」就活に介入する親の実態 保護者に電話「内定に賛成していただけますか」
オヤカクが増加傾向にある背景には、採用難に苦しむ企業側の事情と、学生の行動パターンが挙げられる。
マイナビが25年卒見込みの学生を対象にした調査によると、内定先に関する意思決定の際に助言や意見を聞いた相手として最も多かったのは「父親・母親」で約6割。
「学校内の友人」(24.3%)、「就職関連の学校職員」(14.3%)、「学校外の友人」(14.0%)などを大きく引き離している。このため、内定学生の判断に与える影響が大きい保護者に対して企業側がアプローチするのは必然という流れが定着しつつある、というわけだ。
親と子で異なる価値観
ただ、気になるのは親と子の価値観の相違だ。
マイナビの23年度の「保護者の意識調査」で、子どもに働いてほしい企業の1位は公務員、2位はトヨタ自動車、3位が伊藤忠商事、4位がソニー、5位がNTTと続いた。
一方、マイナビと日本経済新聞社が共同実施した、24年卒見込みの学生が対象の「大学生就職企業人気ランキング」では、文系の1位がニトリ、2位が東京海上日動火災保険、3位がJTBグループ、4位がファーストリテイリング、5位が伊藤忠商事。理系の1位がソニーグループ、2位が味の素、3位が三菱重工業、4位がSky、5位がNTTデータだった。
親と子で重なる部分もあるが、文系1位の「ニトリ」や「ファーストリテイリング」など近年急成長した製造小売業や、理系4位のソフトウェア会社「Sky」といった保護者世代には知名度の低い企業も学生の人気を集めており、世代間で微妙な違いも見られる。
ちなみに、25年卒見込みの学生が対象の同調査でも、ニトリは文系1位、Skyは理系4位をキープしている。
終身雇用が前提だった親世代と、転職を重ねて自律的にキャリアアップしていくのが当然という感覚の若者世代とでは、「会社選び」の基準が違ってもおかしくはない。
就活への親の介入が一般化し、「保守的」な親の意向に同調する学生も多くなると、知名度が低いベンチャー企業や地方の中小企業には、今以上に優秀な若手人材が集まりにくくなることも想定せざるを得ない。
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2024年9月16日号より抜粋
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