デミ・ムーア「61歳ヌード」に込められた深い意味 脱ぐことで批判されてきた彼女が今度は称賛された訳

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執着からついに解き放たれたのは、『G.I.ジェーン』の撮影が終わった時。女性将校を演じるこの映画のために、ムーアは筋肉をたっぷりつけ、体重62キロのたくましい体になった。ひとつ前の映画は『素顔のままで』だったので、立て続けに極端に違う体を作ったのだ。

今度はまたほっそりした体になるような食事やワークアウトプログラムを始めるべきなのだろうが、ムーアはすっかり疲れていた。

またお腹の空いた日々を送るのも、どれだけ痩せたかで自分を評価するのも嫌だと思ったムーアは、ダイエットも激しいワークアウトもやめて、自然に任せようと決意。炭水化物は控えめにする、ゆっくりと少量ずつ食べるなど、もちろん意識はするが、無理はしない。それは、彼女にとって斬新なことだった。

自然体でいられるように

そんなふうに自然な形で自分の体と向き合うようになって、27年。久々にカメラの前で裸になるにあたり、特別に準備をしたのかどうかはわからない。だが、それはどちらでもよい。

『The Substance』のムーアは、強烈な問題提起をする。このヌードには意味があり、女性たちは共感する。嬉しいことに、この映画は日本の配給もすでに決まっている。女優としての本領をついに発揮したデミ・ムーアをビッグスクリーンで見られる日を、今から楽しみにしてほしい。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

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