自民総裁選「小泉・石破・高市」"3強"の競り合いに 「冒頭解散」是非など決選投票にらみ駆け引き激化

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これに対し石破氏は「国民に判断していただける材料を提供するのが政府の責任であり、新しい首相の責任だ。本当のやりとりは予算委員会だと思う」と異議を唱え、小泉氏が狙っているとみられる代表質問終了後の解散断行は、説明責任の放棄だとの認識を示した。

討論会に先立ち、各候補は14日正午過ぎから記者クラブが設営した「控室」で、討論会の冒頭に掲げる自らの主張を大書した「ボード」と、総裁選に挑む覚悟や心境を表す「揮ごう」を準備した。各氏の「ボード」は、「経済成長」(高市氏)・「世界をリードする国へ」(小林氏)・「実感できる経済再生」(林氏)・「政治改革」(小泉氏)・「誰一人取り残さない日本の新しい景色」(上川氏)・「国民の所得倍増」(加藤氏)・「改革の実績・熱さと速さ」(河野氏)・「全ての人に安心と安全を」(石破氏)・「『増税ゼロ』の政策推進」(茂木氏)というもので、それぞれ明快な口調でその狙いと実践をアピールした。

その一方で記者クラブに保管する「揮ごう」は討論会終了後にメディアに公開されたが、その中で話題となったのは河野氏が書いた「〇」だった。これには、他候補や関係者からは「中身が空っぽと思われないか?」などと揶揄する声もあったが、同氏は「これまでの総裁選で書きつくしたので、あえて白星を願って書いた」と笑い飛ばしていた。

“2強”に割って入る高市氏―「党員・党友調査」

今回の総裁選は、これまで通り記者クラブ討論会を踏まえて、15日以降もNHK「日曜討論」をはじめ、民放テレビ各局情報番組での討論会や、自民党主催の各地での討論演説会などで論戦が続く一方、各メディアによる総裁選に絞った世論調査結果も次々公表されている。その中で、候補者自身や各陣営の一喜一憂につながっているのは数社が実施した「党員・党友の人気度調査」の結果だ。

それによると、当初から“2強”とみられていた石破、小泉両氏に割って入る勢いなのが高市氏だ。それぞれの調査はいわゆる地方票となる「党員・党友」と、国会議員票の投票動向の合計で順位付けしたものだが、決選投票に残る上位2人については、下馬評通りの「石破・小泉」だけでなく、「小泉・高市」「石破・高市」というパターンも加わり、「実態は“3強”によるつばぜり合い」(選挙アナリスト)との見方が広がる。

加えて、議員票の分散により「1回戦で過半数を取れる候補は現れず、議員中心の決選投票で新総裁が決まる」(選挙アナリスト)ことが確実視される。このため、麻生派を除いて解散したはずの各旧派閥の水面下での合従連衡の動きも活発化しているとされ、投開票日の27日正午過ぎからの議員投票での各陣営の“情報戦”が結果を左右する「結果が読めないままの緊迫した決選投票になる」(自民長老)との可能性が強まっている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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