過熱する米ヤフー争奪戦、ソフトバンクも食指か
9月初旬にキャロル・バーツ前最高経営責任者(CEO)が突然解任されて以来、身売り話が進行している米ヤフー。ここへ来て、中国のネット大手アリババグループとソフトバンクによる買収観測が再浮上している。
アリババの馬雲(ジャック・マー)CEOはかねて「ヤフー買収に興味がある」と公言。アリババに出資するソフトバンクに共同での買収を持ちかけている。両社は2兆円の買収資金を用意するとの報道もある。ほかにも複数のファンドなどが興味を示しており、一部資産売却から完全な身売りまでうわさが錯綜している。
一時はネット業界の寵児ともてはやされたヤフーも創立早17年。グーグルなどのライバル台頭で収益が低迷し、2011年7~9月期の売上高は約12億ドル(約900億円)とグーグルの8分の1だ。株価も00年の全盛期から9割近く落ち込んでおり、かつての輝きはない。
08年にマイクロソフトによる買収提案を拒否した後、バーツ氏をCEOに迎えたが、主力の広告事業だけでなく、新たな収益源も育っていない。ただ「今でも月間7億人が利用するヤフーの巨大な顧客データベースはネット企業にとって魅力的」(ハイテク調査会社米ドリームスケープ・グローバルのシェリダン・タツノ氏)という声もある。
買収防衛の側面も
中国での事業が主力であるアリババにどの程度買収のメリットがあるかは未知数だ。ただ、同社は米ヤフーの保有する40%の自社株買い戻しに興味を示していたとされる。