高市氏「ネット人気断トツ」も総裁選で苦戦の理由 保守派分裂・伸びない女性支持に"付き合い下手"も

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党内論議が続いてきた「非核三原則」の扱いについては「核不拡散条約を日本は批准しているので、『持たず、作らず』、これは守らなければいけない。ただ、アメリカの拡大抑止の下にあるのであれば、『持ち込ませず』という部分についてはどう考えるのか、これはしっかりと議論しなければいけない」と見直し論議の必要性を主張した。

そこで永田町関係者が注目するのは、「高市氏の出馬が総裁選の流れを変えるのかという点」(自民長老)だ。自民党内でも「保守派の星」と呼ばれてきた高市氏だけに、全国各地で開催してきた講演会には、「いわゆる『岩盤保守層』を軸とした保守派の党員などが押しかけ、盛り上がっている」(政治ジャーナリスト)のは間違いなく、「その点では『台風の目』になっている」(同)とされる。

ただ、9人という過去最多の候補者乱立の結果、今後の論戦も「その場限りの総花的な内容になり、高市氏独自の主張が目立たないまま、『国民的人気』最優先の選挙戦になる」(政治ジャーナリスト)との見方が広がる。有識者の間では「総理総裁の資質は『国家観』と『国家像』」として「『わが国の針路をどうするか』というビジョンを明確に示しているのは高市、石破、河野の3氏で、高市氏には『女性初の宰相』という期待もある」との声もあるが、現状では厳しい戦いを余儀なくされそうだ。

注目度が低かった“しんがり出馬”?の上川氏

そうした中、12日の告示を前に、11日に上川陽子外相が2人目の女性候補として出馬会見したため、総裁選への出馬は9人以上となることが確定した。立候補に推薦人が必要となった1972年以降、最多だった5人を大幅に上回ることになる。

上川氏は11日午後の出馬会見で「誰一人取り残さない社会の実現」を掲げ、「皆さんと日本の新しい景色を作っていきたい」と実現すべき7つの政策を打ち出した。ただ、他候補と同様に約10分間でNHK生中継が終わったあとのネットの生中継では「視聴者が小泉氏や高市氏の1割以下にとどまったことが今後の戦いの厳しさを予想させる結果」(関係者)となった。

今回の総裁選でぎりぎりまで出馬を目指してきた野田聖子元総務相(64)は推薦人確保のメドが立たないため10日夜に出馬を断念し、小泉氏の支援に回ることを決めた。斎藤健経済産業相(65)や青山繁晴参院議員(72)はなお出馬を模索しているが、推薦人確保は難しそうで、「9人出馬でほぼ確定」(自民事務局)との見方が広がっている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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