中国の新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(リ・オート)は8月28日、2024年4~6月期の決算を発表した。
同四半期の販売台数は10万8000台と前年同期比25.5%増加したが、売上高は317億元(約6424億円)と同10.6%の増加にとどまった。一方、本業のもうけを示す営業利益は4億6800万元(約95億円)と前年同期比では約7割の大幅減益だったものの、1~3月期の赤字から黒字に復帰した。
理想汽車は創業当初から利益率を重視し、高級ブランドのイメージ作りに注力。レンジエクステンダー型EV(訳注:航続距離を延長するための発電専用エンジンを搭載したEV)に特化した差別化戦略も当たり、2023年には中国の新興メーカー群の先頭を切って通期純損益の黒字化を達成した。
初投入のBEVでつまずき
ところが同社は、2024年3月に発売した新型高級ミニバン「MEGA」で大きくつまずいた。MEGAは理想汽車が満を持して投入した初のBEV(訳注:バッテリーだけを動力に使うEV)だったが、もくろみに反して惨憺たる売れ行きだった。
それだけではない。MEGAの発売準備に注力する余り、既存車種の販売営業や顧客サポートが手薄になり、売れ行きが全体的に減速。1~3月期の営業損益が5億8500万元(119億円)の赤字に転落する事態を招いた。
理想汽車の経営陣は、失敗を深刻に受け止めて戦略を軌道修正。その後の業績は徐々に回復に転じた。中国市場の価格が20万元(約405万円)を超えるEVおよびPHV(プラグインハイブリッド車)のカテゴリーで、同社の市場シェアは1~3月期の13.6%から4~6月期は14.4%に上昇した。
しかしながら、同社の4~6月期の粗利益率は19.5%と1~3月期の20.6%から1.1ポイント低下した。理想汽車は製品ラインナップの中で最も安い新型車「L6」を4月に発売しており、4~6月期の総販売台数に占める比率が(新車効果により)大きかったことや、MEGAの失敗の影響が後を引いたことなどが要因とみられている。
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