腰が引けてきた? 企業によるソーシャルメディア活用、炎上事件や普及停滞がカベに

「2011年は、ツイッター、フェイスブックが革命のきっかけになるなど、世界的にSNS(ソーシャルネットワーク)が盛り上がった。しかし、日本では、従業員が関わったSNSの炎上や、著名企業への抗議デモがSNSを通じて拡大するなどの事件が目立ち、企業のソーシャルメディアへの姿勢が後ろ向きになってしまった」

そう嘆くのは、ネットマーケティング等を手掛けるアジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦社長だ。

「フェイスブックは話題になったとはいえ、国内利用者は500万人程度ですでに成長鈍化の気配が見える。ミクシィも月間ログイン利用者数が1500万人程度で長らく停滞している。このように日本ではソーシャルメディアの普及が進まないため、その影響力が一部の層に限られている。それゆえ、海外のようにソーシャルメディアが社会的なインパクトを与えられず、炎上などスケールの小さな事件ばかりがクローズアップされてしまっている」と徳力社長は分析する。

欧米やアジアではフェイスブック(および類似のSNS)の普及率が非常に高く、一種の情報インフラのようになっている。そのためマーケティングにも効果がある。日本でも、昨年のツイッター、それに続くフェイスブックのブーム以降、ソーシャルメディアを使って口コミを拡散させ、それによって大きな販促効果が上げようという期待が高まっていた。

ところが、炎上事件などでマイナスイメージが広がったうえに、東日本大震災から時間が経つととともにテレビを使ったマスマーケティングも復活してきたことから、企業の姿勢が後ろ向きに転じてきたという。

「思ったようにソーシャルメディアが普及しないのは、ネットの匿名文化が根強いせいかもしれない。また、パソコンを家族で共有しているためソーシャルメディアを使いづらいというハードウエア上の制約もありそうだ」と徳力社長。
 
 まだまだ本格的にマーケティングに活用できるまでには成熟していない日本のソーシャルメディア。だが、「ソーシャルメディアに蓄積された口コミなどデータを分析・活用することによって顧客との関係性強化につなげられる。また、リアルの販促との組み合わせにも可能性がある」と、徳力社長は単なる口コミ拡散にとどまらないソーシャルメディアの活用が重要と語る。
(丸山 尚文 =東洋経済オンライン)

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