「あ、昇進するなら辞めます」若者の新常識のなぜ 上司が「昇進を受けてもらう」ためにできる工夫

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これらのことを考えると、「昇進すると忙しくなるから残業や休日出勤も増えるだろうし、人間関係のストレスも増える。そんなのは絶対に嫌だ。給料はそこそこでいいし、偉くなりたいわけでもない。だから昇進なんかしたくない」というのが、昇進が原因で辞める人の本音だといえるでしょう。

実際、その理由で辞めた31歳の男性はこう話されていました。

「上司のマネージャーを見てると、毎日残業してるし、土日もたまに出社してるし、上からの圧力もきつくなるし、自分には無理だと思いました。自分は給料が上がるより定時で帰れるほうがありがたいです。なので、マネージャー昇格の話が出たタイミングで辞めました」

こういった若手社員の心理からすれば、「昇進は名誉なこと。きっと本人も喜ぶだろう」と考え、本人の意向も十分に確認せずに若手社員を昇進させようとすると、離職されかねないわけです。

そのため、昇進させるかどうかを判断する際は本人の意向をよく聞いたうえで慎重に対応することが重要です。

昇進に応じてもらうためのコミュニケーションと関わり

とはいえ、ある程度の年次になったら、昇進してチームを取りまとめてもらわないと困る場合もあります。

その場合、昇進前の段階から昇進後の業務を少しずつ経験してもらい、自信をつけてもらうと、スムーズに昇進してもらいやすくなります。

また、昇進を拒む場合はその理由を把握し、その理由に応じて次のことを伝えることができれば昇進に応じてもらいやすくなります。

・業務量が多すぎる場合、サブリーダーを設けて業務を分担してもらうこともできる
・昇進後、上司が相談役として関わるので相談したいことは遠慮なく相談していい
・責任を1人で抱え込もうとせず、上司と連携して一緒に進めていこう
・昇進後、どうしても耐えられないようなら、また元のポジションに戻すこともできる

そして、昇進後は実際にこれらのフォローを行い、業務の経験を重ねてもらうと、残業しなくても業務をこなせる体制を作ったり、人間関係のストレスの耐性がついたりすることで、昇進後の業務もこなせるようになっていきます。

「昇進したくなかったです。だから辞めます」

そういった離職を防ぐために、まずは相手の考え方を理解し、その考え方に沿ったキャリアアップの支援をしていただければと思います。

そのうえで本記事が参考になれば幸いです。

藤田 耕司 経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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ふじた こうじ / Koji Fujita

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、公認会計士、税理士、心理カウンセラー。これまで1200件超の経営相談を受け、心理学と会計を活用した経営改善を行う。その経験から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営改善の成果を高める。また、経営心理学を学ぶ「経営心理士」の資格を創設。経営心理士講座の受講生はのべ5000名を超え、その内容は大手企業や省庁でも導入される。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社 日本、台湾、韓国の3カ国で出版)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)。

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