台湾政界の「変人」が引き起こした一大醜聞の中身 政治とカネの問題が繰り返される台湾政治の暗部
1月の選挙戦で民衆党と党首の柯氏は、既存政党からの脱却を掲げ、とくに政治とカネの問題と住宅問題などに焦点を当てて支持を集めていた。
また、中国と一定の距離を置く民主進歩党(以下、民進党)を横目に、中国との関係性が問われている若者に人気のSNSアプリなどで積極的に情報を発信。取り組みが功を奏し、主要3党の中で若者への訴求が最も成功したと言われ、立法院(国会に相当)7議席を獲得した。
2014年に発生した、当時の馬英九政権の過度な親中姿勢に「ノー」を突きつけた「ひまわり学生運動」から10年が経ち、現在の台湾の若者にとって、中国とは初めから外国のような存在である。
とはいえ、対抗意識を丸出しにすべき存在でもなく、それよりも面白いことやビジネスにつながりそうなことは積極的に吸収したい、そんな若者世代を多く引き付けたと言われる。一部では中国国民党(以下、国民党)よりも中国寄りとさえ言われていた。
最大野党との共闘ばかりが目立った
中国との統一や独立ではなく、第3の道を模索し、是々非々で政策に向き合うと支持者が信じた民衆党。しかし、フタを開けてみると野党第1党の国民党との共闘・協力ばかりが目立っていた。このような状況に、民進党支持者らの間では「第2国民党」と揶揄する声まで聞かれたのだった。
しかし、現有政党に不満を持つ支持者らには、長く続いた民進党と政権への牽制として、当初の想定とは多少違っても耐え忍んできただろう。
しかし、そもそも政治とカネの問題とは無縁を掲げ、政党カラーも清廉潔白を表す「白」を政党カラーとして掲げ、多くの支持者を獲得した政党だ。根本的な部分で支持者らの信頼を裏切ってしまった状況に陥ってしまう。
民衆党のイメージが一気に悪化したと考えられる最初の事件が、台湾中部・新竹市の市長の高虹安氏の汚職事件だった。40歳の彼女は、2020年の立法委員選挙で当選、2022年の統一地方選で新竹市長に立候補し、当選した。
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