台湾政界の「変人」が引き起こした一大醜聞の中身 政治とカネの問題が繰り返される台湾政治の暗部

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高氏には当初から汚職などのスキャンダル疑惑がくすぶっていた。しかし、2024年7月、汚職防止条例違反で有罪判決を受けたことで、民衆党支持者の間でも動揺が走った。

起訴内容によれば、立法委員在任中だった2020年2月から同年11月まで、公設秘書の給与や残業代を虚偽報告するよう秘書に指示。私的に流用していたという。これにより高氏を最後までかばい続けた柯氏と民衆党もイメージは大きく傷ついたのである。

民衆党の「いやしい」市長

さらに判決が出るまでにさまざまな情報がメディアにリークされ、高氏の発言も切り取られて繰り返し報じられた。それによって高氏は「いやしい汚職市長」のイメージが定着してしまう。

ちなみに立法院からだまし取った金額は46万3000台湾ドル(約215万円)としている。たったの9カ月の在職期間とはいえ、相当な額を搾取したことが明らかになった。

高氏は判決が出ると、控訴する考えを表明。同時に、民衆党を離党することを発表した。現在、法律により高氏は職務停止、副市長が代理市長として市政を担っている。仮に二審で逆転無罪となった場合は復職できるが、引き続き有罪となった場合は、市長職を完全に失うことになる。

しかし、民衆党のショックはこれでは終わらなかった。いわゆる政治献金問題が次に世間を揺るがしたのだ。

民衆党の支持者らが柯氏や同党を温かく見守っていたのは、大義ともいうべき「旧来型政治からの脱却」、そして「政治腐敗との決別」があったことは先に触れた。

また、二大政党に対する歯に衣着せぬスタンス、明瞭なワンフレーズによる主張は若者を中心とする支持拡大に寄与した。しかし、他者に対して高い道徳レベルを要求する政治姿勢が、ブーメランのように自分たちに跳ね返ってくる。

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