冒頭でも紹介したダチョウの神秘はまだ完全には解明されていない。SPEEDIAではダチョウの全部位を研究し、さらに商品ラインナップを拡充していく見込みだ。どの商品も、既存の成分よりも優れているとし、たとえばダチョウ成分のオイルを塗布すれば肌水分量が増加したという。
もちろん、これらの取り組みは、業績に大きな影響を与えるものではないだろう。だが、いずれにせよ、実に興味深い新展開だったのは間違いない。
「吉野家のスキンケア」に訴求力はあるのか?
話を、1つ目のオーストリッチ丼に戻そう。
個人的にはダチョウは宗教を選ばないし、飼育効率が高い点は面白いと思う。そして健康と美容はこれからも先進国でずっと継続するテーマであるのは間違いない。また、現在はオーストリッチ丼が1530円(税込1683円)と高いものの、この事業が続けば量産効果で安くなっていくだろう。
個人的には、私が吉野家を愛好している実感でいうと、「うまい・やすい・はやい」を重視しているため、どこまで健康志向に合致するかが疑問ではある。たらふく、そして素早く食べることは、ある程度は健康を害しているだろうし。
とはいえ、今回は限定販売なので、スタートを切った段階にある。まだ実験や試行錯誤の一環だろうから、今後の動きに注目したい。
ただ、メディアの取り上げ方としてはオーストリッチ丼が大きかったものの、吉野家の発表内容は2つ目のオーストリッチ・スキンケア商品に重点が置かれていた。
吉野家では以前、上層部の「生娘シャブ漬け」発言が話題になった。吉野家の今回のスキンケア商品は、女性に訴求できるのだろうか。3つのポイントから分析してみよう。
まずブースターオイル等はかなり高価格帯だ。プレミアム商品として市場を開拓できる可能性がある。ただし競合相手も多く、高価格帯だとこれまで吉野家が対象としてきた一般層=大衆は試すのを躊躇するかもしれない。
吉野家の知名度は抜群で当稿でもとりあげた。だから目にする機会が多く、購入する女性もいるだろう。ただ吉野家グループの「うまい・やすい・はやい」イメージとダチョウ高級スキンケア商品がなかなか合わない消費者も多いだろう。
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