「新鮮味ない」立憲代表選、自民"お祭り騒ぎ"に埋没 政権交代にらみ「昔の名前」ばかりが前面に

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立憲党内には自民の派閥と同様に複数のグループが存在する。その中で、旧立憲民主党の生みの親である枝野氏はコアな党員からの支持を背景に、推薦人も確保できたとみられる。また野田氏には首相経験者としての安定感があり、党内の若手・中堅からなる「直諫の会」が出馬要請し、小沢氏のグループも推す構えで、推薦人確保は確実だ。一方、党関係者は「泉氏でも推薦人確保には不安があり、馬淵氏は極めて困難」と指摘。さらに吉田氏についても「若手や女性が総決起しない限り出馬は困難」とみている。

人気トップの野田氏、ネックは「維新との近さ」

そうした中、毎日新聞が24、25日に実施した全国世論調査「誰が代表に選ばれてほしいか」では、1位が野田氏(27%)で、2位枝野氏(14%)、3位泉氏(7%)と大差をつけた。ただ、これを巡って永田町関係者は「野田氏の最大のネックは維新との関係」と指摘する。

野田氏は今年3月にテレビ番組で維新との候補者調整の必要性を訴え、「地域性を鑑みて、関東を立憲、関西を維新というように調整することで、自民党と対峙すべきだ」と主張した。これについて「野田氏は千葉なのでいいが、関西の議員や関係者にしてみれば、すみ分けどころか切り捨てだから受け入れられないので、代表選でも争点になる」と指摘した。野田氏は8月23日、維新の勉強会に講師として出席したこともあり、「維新と組んで党内保守中道勢力を結集して、左派を追い出す考えではないか」(党幹部)との疑心暗鬼も広がる。

その野田氏は、つい半月前には「『昔の名前で出ています』じゃあいけない」と昭和歌謡の一節を持ち出して出馬を否定。そのうえで代表選を政権交代に向けたステップと位置づけ「自民党の総裁候補と同じぐらい人数が出て、年齢とか性別とかいろんなバランスを戦略的にやった方がいい」と多様な人材による代表選が望ましいとの考えを示していた。このため、今回自ら出馬すれば、「言ってることとやってることは真逆」との批判も避けられない。 

自民総裁選で候補者として女性や若手の名前が挙がることに、立憲中堅は「自民は総裁選になると新しい人材が出てくるが、立憲は人材を育てる仕組みを持っていない」と指摘したうえで、「泉氏が代表になって以降、本当に政権交代できるとは思わずに3年間を過ごしてしまった」と天を仰ぐ。確かにこのままでは「政権交代どころか永遠の野党になるしかない」(政治ジャーナリスト)というのが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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