キリン、注力の海外で「3度目の正直」なるか ミャンマーの買収先はシェア8割の寡占企業

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オーストラリアのビール市場は近年、日本と同様に縮小傾向にあり、今後についても大きな成長は期待できない。ブラジルは、世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ傘下のアンベブが6割超と圧倒的なシェアを握っている。強豪を突き崩して収益を急激に増やすのは難しい。

これに対し、ミャンマーはビール市場のさらなる伸びが期待できるうえ、買収するMBLの直近の業績は、売上高250億円、純利益は63億円と、企業規模が小さいながら収益性が高い。現在、ミャンマーのビール消費はほぼ外食向けのため、キリンは今後冷蔵庫の普及で家庭向けにも消費が広がることで、さらなる成長が見込めるとしている。

有力メーカーもミャンマーに参入

ミャンマー・ブルーワリーの買収会見で自信を見せた西村慶介執行役員。

ただ、有力市場には当然、同業他社も目をつける。今年に入り、カールスバーグやハイネケンといったグローバル大手がミャンマー市場に参入。圧倒的シェアを握るMBLも、安泰というわけではない。MBLは、キリンの商品開発力や製造技術を生かし、有力外資を迎え撃つことになる。買収後、キリンHDは取締役5人のうち社長以下3人を送り込む方針だ。

買収を発表した8月19日の会見で、「ブラジルとはスタートからシェアが違う。たとえ経済が悪くなっても打つ手はたくさんある」と、キリンHDの西村慶介・常務執行役員は自信をのぞかせた。オセアニア、ブラジルに続き、キリンにとって大型買収による海外ビール市場参入は“3度目の正直”。今度こそ期待通りの成果を上げられるか。誤算は許されない。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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