日経平均、現実味を増す「1万8000円割れ」 世界同時株安は「割高修正への一歩」に過ぎず
1)中国の実体経済については、比較的信頼できる経済指標と言われる、鉄道貨物輸送量でみると、2015年1~6月は前年比10.1%もの大幅減少である。こうした中国の景気悪化は、中国の株価動向と関係なく進行してきた。
8月11日(火)突如打ち出された中国元切り下げに、世界の株価が下落して反応したのは、「中国経済は、政府がどんどん対策を打つから大丈夫だ」ではなく、「中国経済は、政府がどんどん対策を打っても、もうだめだ」と、市場が正しく理解したからだと推察される。
なお高すぎる米国、日本も「逆行高」主張の根拠なし
2)米国株については、PER(株価収益率)がまだ高すぎる。S&P500指数の予想PER(米リサーチ会社のファクトセット調べ)は、前週末8月21日(金)現在で16.7倍と、ピーク時の17.8倍からは低下したものの、2006年以降の平均値である14.9倍よりまだ高い。PERの調整要因として、利上げ観測の高まりを想定していたが、9月利上げの有無にかかわらず、自律的にPER低下が始まったと言える。
ここで不安なのは、S&P500指数採用銘柄のEPS(1株当たり利益)予想値が、株価ピーク時の5月22日(金)の週から先週までで、1.3%下方修正されていることだ。この背景には、米ドル高や新興国経済の不振があると推察される。
もし今後EPSが一段と下方修正されると、PERが平均値を目指して切り下がるには、さらなる大幅な株価下落が必要になる。米株価の下落は、米国以外の投資家が米株を売り逃げて資金を本国に戻す、との懸念を拡大し、米ドル相場をも押し下げていくだろう。
3)日本株は、米株価の下落基調入りを無視して、最近まで堅調に推移していた。しかし、海外の悪材料を跳ね返して日本株が逆行高することが正当だと言えるような、日本発の株価押し上げ要因は見当たらない。8月9日(日)付のコラム「日本株は、やっぱり下落する懸念がある」で述べたので繰り返さないが、国内経済指標、政治動向等々、ぱっとしないことばかりだ。
4~6月の日本企業の連結営業利益が、前年比で2割以上伸び、これが欧米のひとケタ増と比べて高いので、欧米株が下落しても日本の株価は上がってもよい、という「暴論」が聞こえる。昨年4~6月は、国内での企業収益が消費増税で落ち込んでいたのであるから、それと比べて前年比が高いのは当然で、日本株の逆行高を主張するのは無理がある。
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