気仙沼ニッティングはエルメス、虎屋に学ぶ 100年続く企業にするためにやっていること

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「世界中のひとに求められるものをつくっていきたいーー」。「気仙沼ニッティング」はそんな信念を掲げて誕生した

100年続く会社を作ること。100年続く老舗をめざすこと。100年続く事業を育てること。本書『気仙沼ニッティング物語:いいものを編む会社』(新潮社、御手洗瑞子著)には100年という言葉が何回も出てくる。学ぶべき先輩企業は創業180年目を迎えようとしているエルメスや、室町時代からつづく和菓子の虎屋だという。この気宇壮大な目標を持つ会社の名前こそ、本書のタイトルにもなっている「気仙沼ニッティング」である。

2013年、気仙沼に創業

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ニッティングの広義は編み物一般だが、狭義はおもに2本の長い棒を使う棒針編みのことだ。両手に棒を持ち、人差し指を器用に動かして、マフラーやセーターを作る手芸だ。アマゾンの本売り場で「編み物」を検索すると5786点もの書籍や雑誌がヒットする。日本ヴォーグが発行する季刊誌「毛糸だま」の発行部数は5万6000部だ。多くの人々にとっては家庭内での実益を兼ねた趣味だ。しかし、気仙沼ニッティングはそれを生業にする会社として2013年6月6日に誕生した。

古来6歳6月6日は習い事をはじめる吉日と言われてきた。この会社の母体となったのは、糸井重里さんと「ほぼ日」である。6月6日を意識していないはずはない。設立から3期目のこの会社は、すでに利益を計上しているとはいえ、まだまだ「9歳」になったばかりの幼子だ。本書をこれからの覚悟をしたためた決意書として読んだ。

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