錯覚から探る「見る」ことの危うさ《第2回》--静止画なのに動いて見える

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 オオウチ錯視に関するこれらの考察から、図と背景に別の方向の線を配置すれば、両者が分離してゆらゆら動いて見えるだろうと予想できる。これを、いろいろな模様を使って実現しているのが北岡明佳氏である。
 
 北岡氏の著書『だまされる視覚-錯視の楽しみ方』(化学同人)には、この方法で動く錯視図形を作る方法が披露してある。これを参考にして私自身が作った錯視図形の例を下に示した。
 
 いずれも、図の領域と背景の領域に異なる方向の線が描かれている。必ずしも錯視は強くはないが、意識的に目を動かしてみると、図と背景が異なる方向に動くことが感じられると思う。

このように動く錯視の作り方がわかってくると、それを応用することも考えられる。たとえば会社のロゴをこの方法で看板に描けば、動いている電車や自動車から見たとき、ゆらゆら動いて見えるだろう。電気を使わなくても動くという意味で省エネ看板ができるかもしれない。

■各画像をクリックで拡大表示

縞々UFO



動くミツバチ


動くコオロギ

すぎはら・こうきち
明治大学特任教授、工学博士。岐阜県生まれ。電子技術総合研究所、名古屋大学、東京大学などを経て現職。2010年ベスト錯覚コンテストで優勝。趣味はそば打ち。

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