鉄道混雑率、かつての「ワースト路線」の現状は? 東西線など首都圏主要路線、コロナ前と比較

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同線は混雑緩和や遅延対策として、2010年代から南砂町駅の線路・ホーム増設や木場駅のホーム拡張などの改良工事を進めてきたが、木場駅の工事については休止した。混雑率はあくまで平均値のため、実際に乗車すると混んでいると感じる人が少なくないだろうが、ラッシュ時のこれだけの利用者減を考えればやむをえないといえるだろう。

2019年度のワースト上位10路線を2023年度と比較すると、輸送人員がほとんど変わらないのは日暮里・舎人ライナーのみで、東西線を含めほかの路線は軒並み2割程度減少している。

とくに大きく減ったのは、2019年度には混雑率194%を記録したJR総武線各駅停車(錦糸町→両国間)で、約2万2000人減と3割の減少。総武線は快速(新小岩→錦糸町間)も約1万4000人減っており、東西線も含め千葉県内から都心への通勤が減った傾向がうかがえる。

かつての混雑ワースト路線10 変化

テレワークが浸透した沿線は?

国交省のデータに基づくと、2019年度と比べて首都圏の主要路線(JR・私鉄・地下鉄計70区間)でもっともラッシュ時の輸送人員が減ったのは東京メトロ半蔵門線(渋谷→表参道間)。2019年度の6万4930人に対し、2023年度は4万1908人と約2万3000人減少した。2021年度の約3万7000人台からはやや増えているものの、かつての7割に満たない。

同線と直通する東急田園都市線(池尻大橋→渋谷間)も同様で、ほぼ3割、約2万1000人減った。

両線の特徴は、東西線や総武線などはコロナ禍に突入した2020年度の利用者減が最も大きかったのに対し、翌2021年度のほうが利用者数の減少が大きく、その後の回復も低調なことだ。コロナ禍の初年度にテレワークや時差出勤が導入され、その後本格的に浸透した企業などへの通勤者が沿線に多いと考えられそうだ。

JR東海道本線(川崎→品川間)やJR横須賀線(武蔵小杉→西大井間)も輸送人員は以前の7割程度だ。

JR東日本が公表しているデータによると、品川駅の2023年度1日平均乗車人員は27万4221人で、2019年度の約72%。JR山手線が乗り入れるほかのターミナル駅の乗車人員は新宿が約84%、渋谷が約86%、池袋は約88%まで回復しており、品川はやや戻りが鈍い。同駅へのアクセス路線である両線にもその影響が出ているといえそうだ。

輸送人員減少 20区間
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