Z世代を通して見える「社会に余裕がない」原因 賢い人なら概念を厳密に定義できるという幻想

どうすれば余裕を持てるようになるのか
勅使川原:『Z世代化する社会』の中では、一部の企業やインフルエンサーは、根拠なく不安をあおってビジネスに誘導しようとするから、その対抗策として、われわれも根拠なく自信を、余裕を持てばいいんだって書かれていますよね。私もその主張自体は正しいとは思うんですが、「余裕」という手触りのある何かが存在しているわけでもないよなあ、とも思うんです。余裕を持つことが対抗策になる、とお考えになった背景をもう少し教えていただけますか。
舟津:そうですね。現状がよくないと仮定したうえで、なぜそれがよくないのかを考えると、いろいろな理由が出てきます。でも、よく挙がるような「無能だから」とか「能力がないからできない」というのはトートロジーでしかない。
やっぱり、社会に余裕がないんだと思います。それには学生たちも共感してくれる部分があって、たとえば就活ではみんな余裕がなくて焦ってイライラしていると。それに対して「余裕を持とう」と言うのですが、おっしゃるように、「これこそが余裕」というものはないんですよね。