ストが頻発するスズキのインド事業、日系企業は何を学ぶべきか?
今回のスズキの件のように「新工場の立ち上げ」は、特に注意が必要なのかもしれません。新しい若者を大量採用した時に、会社側に対処できないスキが出てしまうのかもしれません。全国労組の組合員たちは、つい最近まで学生だった新入社員の若者に接近し、くだらない入れ知恵をするわけです。それは、労働者のためではなく、自分たちが飯を食うためなんです。「組合活動は、労働者に与えられた権利」といえばカッコいいですが、そんなものではないのです。
--既存の社内労組はどういう役割を果たしたのでしょうか?
正規の社内労組を仲裁役に使う対応の仕方もあるんですが、会社側に認められた正規労組としては、本音としてはこうした「違法スト」「自分たちに関係のないスト」に関わるのは正直嫌なのではないかと思います。違法な新労組のほうから恨まれる可能性が出てきます。当事者同士が基本ですが、仲裁機関当局に相談した場合は、助けてもらうしかないと思います。
--仲裁機関というのは地元の自治体などでしょうか。その効果は?
インドでは州政府です。州の労働省が当局です。事態が大きくなると、労働大臣が出てきたり、州首相が出てきます。インドでは州首相というのは非常に強い権限を持っています。さらに暴力沙汰が広がるような事態になれば中央が動く場合もあります。数年前のホンダの例では、影の首相と言われる与党国民会議派のソニア・ガンディー総裁が動いてやっと終結しました。
中国と比較した場合の話をすれば、中国も地元当局が仲裁機関になりますが、中国共産党の意向は絶対ですから、会社内に多数いる共産党員を呼びつけて、喝を入れれば収束します。ある意味、地元の共産党幹部のさじ加減一つで決まります。外資誘致に積極的な自治体の場合は、他の経済特区との競争で評判を気にしていますので、なおさらそうです。
しかし、インドは良くも悪くも民主的ですから、なかなか鶴の一声というわけにもいきません。仲裁機関に頼るしかないですが、それにも根気が必要です。