ストが頻発するスズキのインド事業、日系企業は何を学ぶべきか?
結局、7~9月の生産台数は前年同期比2割の大幅減となりました。人気車種のスイフトなどの生産に影響し、納車待ち半年以上と販売にも影響が出ています。報道では6月からの類型で8万台以上の販売損失につながっているようです。
正規労組ではないストですから違法ストに当たります。争議の主体が正規労組ではありませんので、末端の人間が勝手にストを始めてしまういわゆる「山猫スト」のような状況で、経営側としても誰が交渉相手なのかよくわからない、したがって交渉にルールがない、という状況に陥ります。
--スズキ側に問題はあったのでしょうか。紛争原因、つまり労働者側の要求は何でしょうか?
スズキに限らず、インドではここ1年くらい、特に自動車業界で労使紛争が多数発生しました。現代自動車、GM、独ボッシュやホンダ系の部品メーカーなどです。いずれも非合法の労組を組織して「新しい組織を作ったから、正規労組に認定しろ」と要求しています。もちろん、「臨時工から正規工にしろ」といった典型的な要求も入ります。まずは「労組としての権利を獲得するための争議」を仕掛けるということです。
今回のスズキも同じような要求内容でした。全国労組の扇動によって発生しているために、同じようなパターンになります。2回目以降の紛争では、これらの要求に「処分者の復職」などが加わります。
--扇動している外部労組とはどこでしょうか?
外部の全国規模の労組です。インドの労組の特徴は各政党と深く結び付いているということです。今回の件では、AITUCというインド共産党系の組織でしたが、これは歴史のある大きな労働組合の一つです。
他にもINTUCというインドの与党である国民会議派系の組織、最大野党で右派のBJP系のBMSも大きな労組です。特に共産党系のAITUCは活動が活発です。外部の全国労組というのは、『騒動を起こしてナンボ』なんです。彼らはそれで飯を食う、いわば扇動のプロです。日本の労組とは全く違います。