超リアル「シミュレーター界隈」最新技術と活用法 クルマ開発で求められる「再現性」と見える化

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S&VLを率いる村松氏は、大手自動車メーカーでのエンジニアリング経験を踏まえて、量産車開発において「日本メーカーはいまだに実車主義の傾向が強い」と指摘する。

欧米や中国の開発現場では、デジタルツインをフル活用した開発手法が急速に進んでいる一方、日本では特にドライビングシミュレーションの分野で後れを取っており、いまも実車での走行が主体だという。

S&VLにとっては、「だからこそ日本でビジネスチャンスがある」といえるのだ。

S&VL技術研究所の開所式典の様子。中央が同社の村松社長。その左が山本知事で右(反対側)が清水市長(筆者撮影)
S&VL技術研究所の開所式典の様子。中央が同社の村松社長。その左が山本知事で右(反対側)が清水市長(筆者撮影)

今回は施設開設の式典も実施され、自動車メーカー各社の関係者も参加。そのひとりは「ドライビングシミュレーター(の活用方法や評価基準など)はいま、各社で手法が違うようだ。今後はメーカー間での協調領域についても、議論されるようになればよいのではないか」という私見を示した。

また、式典には群馬県の山本一太知事と、太田市の清水聖義市長が来賓で出席していた。

山本県知事は「群馬県はデジタル技術関連事業を応援しており、(本件が)デジタル人材の育成に寄与することを願う」と県内の新規事業拡大への期待を示す。

その後、清水市長とともにドライビングシミュレーターの操作体験をそれぞれで行い、両者はそのリアリティの高さに驚いていた。

EV性能の“見える化”を行うAVL

量産化開発でのシミュレーションで、別の観点での視察も行った。欧州オーストリアを本拠地とするAVL(エイヴィエル)日本法人のテクニカルセンター内でのことだ。

AVLは、1948年に創業して以来、自動車産業を中心とした各種分野での開発・試験・シミュレーションを世界26カ国で手掛ける業界大手である。

複数の試験装置を見たが、そのうちのひとつがEVの走行シミュレーターだ。視察時は、日産「サクラ」が試験車両としてあり、タイヤが外されホイール部分に計測装置を直結した状態だった。

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