日本株は、やっぱり下落する懸念がある 米国株は崩れているのに「理由なき上昇」の謎

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もちろん、日本の株価が米国と全く同じように動かなければいけないわけではない。だが、逆に言えば「日本株が米国株離れを強めても正しい」、と言える要因はあるのだろうか。

たとえば、市場からは円安をそうした要因の一つとして挙げる声が聞こえる。8月5日(水)には、重要指標の一つ、7月の米ISM非製造業指数が極めて強かったことを受けて9月のFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げを確実視する向きが増えた。その結果、米市場では米ドル円相場が一時125円台に乗せた。

そうした円安が、翌8月6日(木)の日本株価上昇の要因だとの解説が多い。この日、日経平均はザラ場で2万0817円の高値をつけ、6月23日(火)~25日(木)、7月21日(火)とならび、3回目の2万0800円超となった。

輸出株の値動きはチグハグ、国内も買い材料乏しい

ところが、円安らしい物色動向であったかというと、確かに輸出株のうち自動車等は堅調だったものの、主要な電機株(三菱電機、NEC、ソニー、パナソニック)は前日比で値下がりした。その一方で、明治HDや森永製菓といった内需株の一角が急騰するなど、株価上昇の理由とされる円安と物色動向の間に、ちぐはぐさが否めない。

つまり国内株価は、正当な材料なく上がったのであって、説明要因として唯一使えそうな出来事であった円安が、無理矢理持ちだされているに過ぎないと感じる。

百歩譲って、為替は横においても、日本国内から株価を押し上げるような材料が湧き出ているのなら、米国など他国の景気や株価がどうなろうと「日本株は上がってよい」と主張できる。しかし、このところの国内での材料は、むしろ株式の買いを手控えさせるようなものが多い。

たとえば最近発表された国内経済指標では、7月31日(金)発表の6月の失業率は0.1%幅上昇、6月の家計消費支出は名目でも実質でも前年比減となった。

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