就活オワハラが問題になったこれだけの理由 就活生諸君、君たちは恐れなくていい

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そもそも、ある期間で職務未経験の学生を取り合う上、内定を企業が取り消せば問題になるが、学生にとっては辞退することが比較的自由である日本の就活の慣行からすると、オワハラは構造的に起こりやすいという問題だということも認識しておきたい。

これが、オワハラ問題を考えるためにおさえておきたい前提である。つまり、実態よりも大きく伝えられていないか、そして、大手の内定を出す8月以降こそが、これがますます増える可能性がないかということである。

オワハラという言葉が流行ってしまったがゆえに、少しでも強い口調で採用担当者が迫ると、そう感じてしまうという状態にもなっていないか。あたかも、ちょっと突っ込んだ質問をすると学生はそれを「圧迫面接だ」と感じてしまうかのように。

採用担当者の立場になってみると…

オワハラを肯定するわけではないが、ここで、採用担当者の立場も確認しておきたい。採用担当者のミッションというのは、企業の未来を担う人材を採用することである。若手人材に対するニーズは強いし、業態によっては人材がいなければ業務は回らない。

就活時期繰下げ、売り手市場化の中、採用が厳しくなるという理由で採用予算を増加させた企業の採用担当者には、経営陣からの「ちゃんと採れるんだろうな」というプレッシャーが半端じゃなくのしかかる。さらに言うならば、採用担当者としては、「早くウチに決めて、就活を終了して学生生活を謳歌して欲しい」という気持ちもある。もっとも、それが学生に伝わっているかどうか、学生が納得して入社できるように企業の魅力を伝えるべきなのだが。

このように、今一度オワハラとは何か、採用担当者とはどんな人かという視点を持っておきたい。

結局、企業にオワハラを誘発させ、かつ企業がその学生の大学生活に思いを来せない状態すら起こすのなら、何のための就活時期繰下げだったのかという話になるのだが。

オワハラが構造的に起こってしまう状態を理解しつつも、学生は声をあげはじめている。大人たちもオワハラ企業の犯人探し、この問題を傍観するだけでなく、学生を見守る努力をしなくてはならない。

学生諸君、「我が生涯に一片の悔い無し」(『北斗の拳』のラオウ風に読むこと)と拳を振り上げて叫べるほどの、納得のいく就活を!

常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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