就活オワハラが問題になったこれだけの理由 就活生諸君、君たちは恐れなくていい

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もちろん、採用に一生懸命な企業とオワハラ企業は、紙一重ではある。どうしてもあなたが欲しい、一緒に働きたいという想いの現れかもしれないが。

 「オワハラ」の乱用も問題だ

もっとも、この「オワハラ」という言葉がひとり歩きした感も否めない。

前出の文科省の調査によると、ハラスメント(ここではオワハラ)を受けた経験があると答えた学生は232人であり、調査対象となった学生の5.9%程度である。やや雑な計算であるが、232人を82校で割ると、1校あたり2.83人となる。1校あたりの調査対象は47.98人だ。これを多いとみるべきか。もちろん、オワハラがあるかどうかで言うと、存在するのは事実だが、ややデータが誇張されひとり歩きする印象を受ける。先ほどの「オワハラの相談を受けた大学が7割」というのも、相談があったか否かの話であって、件数の話ではない。

また、昨年と比較して現時点でもオワハラの発生度は高いかのように見えるし、これを行っているのは早期に内定を出した準大手企業、中堅・中小企業であるかのような印象を受ける。ただ、ここにおいても立ち止まって考えたい。

「オワハラ」という言葉が広がったのは今年に入ってからであり、昨年は存在しない言葉だった。この言葉は、採用広報活動が始まった3月頃から広がりはじめた。警鐘を鳴らす意味で、広がっていった言葉である。2016年度採用は就活時期の変更が行われるが、必ずしも全ての企業が守るわけではないことが懸念され、オワハラのようなことが横行することが危惧されたからである。

この言葉が生まれたことにより、就活生が異議申し立てできるようになったこと、問題意識が高まったことは良かったことだといえるだろう。ただ、ややもすると、実態よりも誇張され、メディアもオワハラ事例探しに終始していたように感じる。そして、あたかも早期に内定を出している企業(=中堅・中小企業、ベンチャー企業、外資系企業)がオワハラをしている企業であるかのように印象操作されてしまったのではないだろうか。

オワハラという言葉が生まれ、広がったのは今年の春頃からだが、現象として、これは長年行われてきたことである。そして、これは他ならぬ大手企業のお家芸ともいえるものである。

またいかにも売り手市場の時期に起こる現象だと思われているようだが、これも誤解である。買い手市場においても、厳選採用であるがゆえに、内定を出した者に逃げられると困るので、厳しい囲い込みが行われる。

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