コロナで消えた「駅ナカジュース店」驚きの現在 拡大、派生、衰退…そして新たな出店が始まるまで
話は少し本筋からずれるが、東京にはかつて、ジューサーバーとよく似た『ハニーズバー』というジュース・スタンドのチェーンがあった。筆者は出張時に時々見かけ、てっきりジューサーバーのFC店だと思っていたのだが(そう思っている関西出身の読者は多いのでは)、実態は大きく異なっている。
元々ジューサーバーの東京店舗の多くは、JR東日本系列の子会社がFC契約で出店していたという。そのため、渋谷、上野、八王子などJR沿線に多かった。しかし後に、その多くが独自ブランドのハニーズバーに転換し、勢力を広げていったそうだ。
その後、ハニーズバーは、最盛期の2018年には44店舗まで増加。しかし、コロナ禍で店舗数が減少し、2023年8月31日をもって全店が閉店した。
3店舗目が開店し、売上は伸び盛りに
話を戻そう。ハニーズバーと同じく、コロナ禍で辛酸をなめ、40店舗から2店舗まで縮小したジューサーバーだが、今、ゆるやかに復調を遂げている。その証とも言えるのが2024年4月末の、ひらかたパークへの出店だ。再起をかけた3店舗目がなぜ、これまで実績のない遊園地内だったのか。
実は、株式会社カフェが事業承継した京阪レストランは、ひらかたパーク内にフードコートやクレープ店などの売店を運営していた。そして、「既存のスペース内にもう1店舗開店しよう」という話になったときに、「京阪沿線に多くの店舗があったことから、知名度があり、懐かしく思い出してくれるかもしれないジューサーバーを」という案が浮上したという。さらに、「ひらかたパークは長い歴史のある遊園地なので、レトロな雰囲気も合うのでは」という意見もあったそうだ。
こうして3店舗になったジューサーバーの売上は現在、伸び盛りだ。ただ、食材の値上がりは変わらず激しく、この7月にも値上げをしたばかり。けれど、飲食代が軒並み上がっていて、高額でも購入するインバウンド客が増加していることもあり、値上げの影響は少ないそうだ。
このインバウンド客、新大阪駅新幹線改札内の店が特に多く、実に顧客の4割を占めるというから驚く。株式会社カフェの販売促進を担当する岸本綾乃氏は、「海外は牛乳が入ったジュースがあまりないのかミックスジュースは好まず、生しぼりリンゴやアサイーなどのストレート系ジュースを好まれる方が多いですね。900円程度と高額なXLサイズを頼む方もよくいらっしゃいます」と話す。サイズについては、日本人より大容量の飲料を注文することに慣れているからこそだろう。もちろん、ジューサーバーの採算も向上する。
さらに新大阪駅新幹線改札内の店では、「大阪を離れる前に、最後に名物のミックスジュースを飲んでおこう」と購入する需要もあるそうで、ひっきりなしに客が訪れている状態だ。7月の祝日はコロナ後では過去最大の売上で、人がよく移動する連休には、1日の売上が100万円を超えることも珍しくなくなったそうだ。
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