急成長の「請求書サービス」、2トップが真っ向勝負 Sansanとラクスが互いの得意領域に本格進出

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一方のSansanが新たに手がける請求書発行、経費精算の領域で重視するのは、一貫性だ。

Sansanの大西勝也・Bill One事業部長
Sansanの大西勝也・Bill One事業部長。請求書発行、経費精算の領域では、一気通貫で作業効率化に寄与できる点を打ち出す(記者撮影)

同社が実施したアンケートでは、経理担当者の約7割が、振込名義と請求書情報の突き合わせなどを行う「入金消込」(実際に入金が行われた際に売掛金としてのデータを消すこと)の業務に課題を感じていたという。

そこでSansanは銀行代理業として「Bill One Bank」を開始し、入金専用の仮想口座を発行することで、消込業務をより精度高く、手間がかからないようにする。また経費精算では、Bill Oneの専用カードを発行し、経費支払いで従業員に利用してもらうことで“立て替え払い”そのものをなくす。

「請求書を発行してから振り込まれ、銀行機能も内包して消し込むところまでを一気通貫してカバーできるようなプロダクトは、エッジが立っているのではと考えている」(Sansanの大西氏)

成長のカギは解約率をいかに抑えるか

クラウドを活用した請求書サービスの市場拡大余地はまだまだ大きい。

Sansanの調べでは、受領サービスの利用率は大手企業で4.1%、従業員1000人以下の中小企業では2.1%にとどまるという。発行サービスに関しても、4月に実施した調査によれば、請求書発行はまだ「紙が多い」と回答した企業が6割に上った。

市場の成長性を見越して、Sansan、ラクスのほかにも、LayerXが展開する「バクラク請求書受取/請求書発行」や、TOKIUMの「TOKIUMインボイス」など、今では多くの企業の請求書サービスがひしめき合う。

この先、競争激化も見込まれる中で、Sansanとラクスがそろって重要視するのが、継続して利用できる状態まで支援するカスタマーサクセスだ。営業活動でARRを積み上げつつ、サービス導入後も顧客のニーズをとらえて解約率を低く抑えることが、継続的な成長へとつながる。

「UIの好みはでてくるかもしれないが、システム機能面はあまり差別化される要素がないと思っている。企業ごとに導入して運用が定着するまでに求められるものが異なり、個別のニーズを把握して対応することを重要視している」(ラクスの吉岡氏)

まだまだ成長が見込まれる請求書サービス。かつて雑務に追われていた経理のDXは、今後一段と進んでいきそうだ。

武山 隼大 東洋経済 記者

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たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

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