急成長の「請求書サービス」、2トップが真っ向勝負 Sansanとラクスが互いの得意領域に本格進出

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経費精算や請求書発行の領域でDXが進む中、郵送、メール、Webなど多様な形式で届く請求書が混在するようになると、請求書を受領する側にも、種類に応じて細かな対応を求められるという課題が生まれてきた。

ラクスの楽楽事業本部長・吉岡耕児氏
ラクスの楽楽クラウド事業本部長・吉岡耕児氏。顧客基盤がある中小企業から営業を本格化させるという(記者撮影)

ラクスもそこのニーズは認識しつつも、発行サービスではまだまだ紙の請求書が多い状態。請求書の受領作業を効率化するサービスが伸びていくスピード感は読み切れていなかったという。そこで楽楽精算の中でオプションとして受領サービスを開始したものの、本格的なプロダクトはなかった。

そんな中、先手を打ったのがSansanだった。請求書受領サービス「Bill One」を2020年にリリースすると、その後急成長。紙で届いた請求書を代理でデータ化する事業も奏功し、大量の請求書をさばく必要がある大手企業を中心に導入が進む。

Bill Oneの2024年5月期の売上高は61億円と、前期の2.5倍に拡大。有料契約件数は2816件で、解約率も0.42%と低い。

Sansanの大西勝也・Bill One事業部長は「経理の課題解決を考えたときに、請求書の受領領域はまだまだアナログだった。当社は名刺管理のサービスで、アナログな情報をデジタルに置き換えていくというナレッジがあったことも大きい」と話す。

まずは中小企業から攻めるラクス

請求書の受領サービスは発行サービスに比べると、まだ市場規模は小さい。ラクスが全国の経理担当者を対象に請求書受領システムの導入を検討しているかアンケートしたところ、すでに導入しているとの回答は約2割にとどまった。

Sansanが先行する市場で、ラクスは顧客数の多い中小企業から攻めていき、将来的に大手企業も含めて対応していく考えだ。これまでの楽楽シリーズと同様、業務フローを変えないまま業務効率化を実現できる使い勝手のよさで、顧客獲得を目指す。

「ニーズをとらえていくところとして、まずは顧客基盤がすでにあり、知見を持っている中小企業を攻めていく。3~6年でARR(年間経常収益)100億円を目指したい」(ラクスの吉岡氏)

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