「涙が出てくる」韓国人絶賛した日本人歌手の正体 テレビでJ-POPが放送されるようになった背景

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「韓国のコンテンツの競争力が強くなり、日本の大衆文化へ抵抗感を覚えることもなくなった。韓国の1人あたりの国民所得が史上初めて日本を抜くなど経済的な自信感がその背景にある」

1990年代後半、韓国では日本の大衆文化を開放しようという動きに、「文化で優位な日本の大衆文化に韓国の文化が呑み込まれてしまう」と憂慮する声が噴き出した。しかし、それから30年近く、韓国エンタメのグローバル化は、日本のアニメーションなどの実力は認めつつも、日本以上のコンテンツ力を持っているという自負心につながっている。その現れが「日本の大衆文化」をタブー視しなくなった現象へとなった。

そして、なにより社会の雰囲気ががらりと変わったことも大きいだろう。政権が交代し、日韓の間で話し合いの場が持たれるようになり、友好ムードが先立っている。こうした変化も日本の歌が日本語のまま一般の人々にすんなり受け入れられるようになった背景にある。

SNS上では日本人と韓国人がやりとり

歌心りえさんが披露した『道化師のソネット』の公式YouTubeには、ある日本人が書き込んだ曲が作られた背景について、韓国の人からは「歌の由来を知りもっと深い感情を持ちました。ありがとうございます」などのコメントが続々と返された。

先日、日本と韓国で大反響を呼んだ「NewJeans」のメンバー、ハニが松田聖子の「青い珊瑚礁」を歌った公式YouTubeチャンネルでは、ある日本人が、「61歳の癌闘病中です。毎日が輝いていた44年前を思い出しました。感動と勇気をありがとう。頑張って癌に勝つぞ」と書き込むと、「最近の60は青年です。頑張って。克服できます」「必ずや勝ちます」「快癒を祈ります」「どうぞ1日も早いご快癒を。祈っています」という韓国からの応援メッセージがずらりと並んだ。

SNS時代の交流の流儀。時代が変わったのだということを韓国にいながらしみじみと実感している。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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