CSSCが総額50億元(約1060億円)を超える資産買収を決断した背景には、造船市場の空前の好景気がある。中国船舶工業協会のデータによれば、中国の造船会社による2024年上半期(1~6月)の新規受注量(載貨重量トン数ベース)は5422万トンと前年同期比43.9%も増加した。
この好景気をもたらしたのは、造船需要の高まりに対する供給能力の不足だ。世界の造船業界は2010年代を通じて10年を超える長期不況に見舞われ、数多くの造船所が閉鎖に追い込まれた。浙商証券の調査レポートによれば、2024年初め時点で稼働している全世界の造船所は368カ所と、2008年の1031カ所から6割以上減少してしまった。
民営大手も生産能力引き上げ
ところが、新型コロナウイルスの世界的大流行やロシアのウクライナ侵攻をきっかけに生じた海上輸送力の逼迫や、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するためのクリーンエネルギー船への切り替えなどが重なり、過去数年の間に新造船の発注量が急増。世界中の造船所で、新規受注を断らざるをえないほど生産能力が逼迫する状況になった。
そんな中、生産能力の拡大に動き出した企業はCSSCだけではない。中国第2位の民営造船会社で慎重な経営で知られる新時代造船も、本拠地の江蘇省で大がかりな拡張計画を始動させた。同社は約50億元(約1060億円)を投じて超大型の乾ドックを新設し、増加し続ける需要に応える。
中国の民営造船最大手の揚子江船業集団は、クリーンエネルギー船専用の新たな造船所の建設に乗り出す。同社は(建設予定地である)江蘇省靖江市新橋鎮の地元政府と7月中旬に契約を締結。2026年末までに造船所を完成させ、稼働させる計画だ。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は7月29日
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