ブリヂストンがいま北米へ大型投資する理由

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対照的に北米市場では、ブリヂストン以外に目立った投資の動きはない。交換用タイヤの販売が7月まで4カ月連続で前年実績を下回るなど、足元で景気減退の影響が広がってもいる。だが、荒川詔四社長は「今回の投資には、当社だからこそできるという強烈なメッセージを込めている」と語る。

ORRの生産には特殊な設備と技術が必要で、世界市場を仏ミシュランとほぼ二分している。ブリヂストンは下関と北九州の国内2工場でのみORRを生産してきた。ただ、慢性的な供給不足が続き、新たな拠点作りが課題の一つだった。円高対策や東日本大震災を受けた一極集中のリスクを回避する必要もある。

北米はカナダや南米などのORRの需要地に近く、物流面のメリットが大きい。そう考えれば、北米への投資は驚くべき判断ではないかもしれない。しかし今回、ORR工場のほかにも約200億円をかけて、北米で一般タイヤ2工場を増強する。

北米には1988年買収したファイアストンから引き継いだ拠点が多い。06年にはオクラホマシティ工場を閉鎖、09年にはテネシー州ラバーン工場で人員削減を実施、乗用車用タイヤの生産を中止するなど、これまではスクラップを優先してきた。


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