ブリヂストンがいま北米へ大型投資する理由

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

実は、北米の現地拠点からは、4年も前からORRの新工場の計画が出されていた。リストラに一定のメドがついたことで、「北米には世界的にも競争力の高い工場が残った」(生産担当の関口匡一執行役員)。さらに日本流のカイゼンが根付き、今ならば技術レベルの高いORR生産を移管できるという判断がある。

ブリヂストンでは、主に地域別に分かれた戦略的事業ユニット(SBU)が自主性を持って事業を展開している。東京本社は基本的な戦略方針を出すが、SBUのサポートや調整が主な役割だ。ただし、全社の経営目標として掲げるROA(総資本利益率)6%を、個々のSBUにも適用したうえで、東京本社はアジアのSBUとは毎週、日米欧のSBUとは月に一度、テレビ電話会議を開き、販売や在庫状況を把握。SBUの各工場をおよそ50にもわたる社内指標を使い月次ベースで評価するなど、グリップは緩めていない。

SBUは個別に投資計画を立案するが、それぞれがバラバラに投資すれば、ブリヂストンは単なる膨張体の組織になるおそれがある。日常的なやり取りをベースに、全体最適を考え東京本社が投資をジャッジしていく。ORRの生産計画は、中国など他地域のSBUからも出されていた。世界数十カ所の候補地から、北米エイケンを選んだのだ。

グローバル化で独走 タテとヨコを強化

北米新工場のトップは、米国人が務める。特殊設備の多いORR工場にあって、設備の約8割を現地で調達。さらに投資を20年まで段階的に実施することで、需要減退があればブレーキをかける準備も怠らない。

UBS証券の松本邦裕アナリストは「ブリヂストンのグローバル化は10年先を見据えている」と評価する。国内他社はグローバル化を本格的に開始したばかり。対して、ブリヂストンはすでに新興国での一定の基盤整備を終えており、北米増強はグローバル展開の2巡目に入ったことを示している。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事