中韓激突!知られざる「キムチ貿易摩擦」

韓国産キムチは何と中国に輸出できない

今年2月に中国政府はキムチ関連の規制を改めると述べた。ぎりぎりの段階で譲歩したものとみられる。だが今さら変更されても損害を取り返せるとは限らない。すでに中国産の安いキムチは韓国市場にあふれている。韓国内の生産者は生き延びるために必死だ。コスト削減策として中国に工場移転した例もある。製造所を閉鎖した会社もある。

漢盛食品のCEO金順子は、キムチ製品を値下げする以外にほとんど道はなかったという。「わが社はキムチ生産の大手だが、中国のほうが材料などのコストが低いため、韓国内には中国産キムチが増える」。漢盛食品は韓国内3カ所に工場を展開している。「今は中国からの輸入が多すぎる」。

キムジャン文化の行方

韓国政府は文化的にも歴史的にもキムチの意義を保ち、その経済的な重要性も維持することに努めている。ユネスコの無形文化遺産への登録を申請し、キムジャン(キムチ作り)文化の登録が決まった。

韓国政府出資の世界キムチ研究所で、研究者らは「国家の成長を促すようなキムチ産業の育成開発」を命じられている。しかしながら今日の韓国でキムチの存在感は薄まりつつある。ほんの数十年間で農業国からハイテクの国へと変身した韓国の若者たちは、食卓を囲むよりスマホなどを手にしてネット上で費やしている時間のほうが長い。

昔は秋になると家族が集まって甕(かめ)にキムチを漬け込み、土中に埋めて貯蔵するという風習もあった。今はそんな風習も消えかけている。自分でキムチを作るような若者はめったにいない。めったに食べないという者たちもいる。

30年以上前から市場に店を開いているという樸素子は、「昔は米しかなかった。子沢山で貧しくて。選択肢は限られていた」と語る。「この市場で私も年を取った」と言うだけで年齢を明かさない彼女の店に来るのは、露天商の仲間や観光客が多い。たまには家庭の主婦も訪れるが、「誰も自宅では作りたがらない。面倒くさいし、お金を稼ぐために皆忙しすぎる」。

(執筆: Alexandra Stevenson記者、翻訳: 石川眞弓)

© 2015 New York Times News Service
 

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