この状況は、グラフに示すようにPCの輸入と国内生産をみると明らかだ。電子計算機の輸入が、90年代中ごろから急激に増えている。他方で、国内生産は90年代の初めまでは急速に増加していたが、90年代の前半には落ち込んだ。その後、ITブームの影響で一時増えたが、90年末からは停滞している。
これは技術進歩が標準化をもたらし、「日本の独自仕様」が成立しなくなったからである。そうなれば、利用者の囲い込みは不可能になる。標準化とオープン化が進めば、機能や性能による差別化は不可能になり、競争は低価格化競争になる。こうして、PCのコモディティー化が一気に進んだ。そして国内のPCメーカーは敗退したのである。
なぜ競争はハードでなくソフトで起こるか
PCでかつて起こったことと、携帯電話でいま起こっていることは、本質的に同じ構造である。
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