「昭和の時代を引きずったままの組織カルチャー」とは、たとえば次のようなものである。
・「縦」の関係性が強く、「親分─子分」の絶対的な主従関係に依拠する
・「顧客は絶対」という「Master-Slave」の意識が強い
・心理的安全性が低く、主体的な発言や行動ができない
・ストロングタイプ(強面)のリーダーが存在する
その典型例が「オールドボーイズクラブ」だろう。
これは男性中心の非公式な組織内コミュニティのことで、男性だけの飲み会やゴルフ、勉強会などを通じて排他的な派閥やグループが形成されることである。
「新たな価値」を生まない排他的組織
政治の世界では「3人寄れば派閥ができる」と言われる。どんな組織でも、人が集まれば、そこにはグループが形成される。
問題は、そのグループの持つ排他性である。異質や異分子を排除する組織から、「新たな価値」は生まれようがない。
多様性や包摂性の重要性が高まり、労働の流動性も高まる中、こうした組織カルチャーのままでは経営が立ちゆかなくなるのは明白である。
にもかかわらず、多くの日本企業は時代に合った「新たな組織カルチャー」へと転換しようとしてこなかった。
組織風土は目に見えない。目には見えないが、組織を覆う空気や雰囲気は必ず存在する。
風通しがよく、オープンで軽やかな空気の会社もあれば、閉鎖的で重苦しく、淀んだ空気の会社もある。
組織の空気が重く、上からの「圧」がきわめて強ければ、現場で深刻な問題が起きても、それを上に上げることができない。上に上げようとしても、真正面から向き合ってくれない。現場は問題を抱え込み、孤立する。
その結果、現場は不正や不祥事を起こしてしまう。そして、その根底には日本の産業構造に潜む「Master-Slave」の関係性が色濃く影を落としている。
実際、品質不正や不祥事を起こした企業に共通するのは、組織風土の問題である。
こうした企業が立ち上げた第三者委員会の報告書を読むと、必ずと言っていいほど「組織風土に問題がある」という結論になっている。
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